宮崎の環境汚染告発おばさんが訴えられて完敗の巻|やまもといちろうコラム

デイリーニュースオンライン

画像はツイッターより
画像はツイッターより

 山本一郎(やまもといちろう)です。大量に摂取すると死に至る危険な薬物である醤油を、結構べったりつけてお刺身をわさびと共に食べる派です。

 先日、当デイリーニュースオンラインで記事にした宮崎の環境汚染おばさんこと黒田睦子女史ですが、業者に訴えられて本人訴訟で応戦も敢えなく完全敗訴、賠償金の支払いと告発ツイート、ブログ記事の削除を命令されるという結果となったようです。

宮崎で環境汚染を訴えるおばさん…どう見ても道路工事な話

 人間、どうであれ戦い抜くというのは大事なことです。負けたとはいえ、最後まで戦ったおばさんに拍手したいと思います。

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 もちろん、ネットやツイッターでは納得いかないおばさん支援者や、敏感すぎる何人かが祭りの残り香を楽しんでいる風情が散見されます。が、お話として仮に問題の各種物質に発がん性があったとしても、常識的には考えられない量の摂取がなければ問題とはならず、自然に大量にある物質であることも重ねて指摘されるところで、無難なところで遠足が散会になるような気配がいたします。

#日向製錬所産廃問題
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証拠不十分と名誉毀損

 そして、黒田女史は一部裁判所の命令に応じず、刑事告訴される可能性まで取り沙汰され始めました。一連の流れを見ていると、環境問題があるかもしれないと指摘するところまでは良いにせよ、それが「環境問題である」と主張できる証拠がないばかりか、工事施主らを暴力団呼ばわりする名誉毀損までネット上で展開し、ネットに巣食う陰謀論スキーの耳目をたくさん集めてしまったわけですから、さすがに旗色が悪いとしか言いようがありません。

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 冷静に考えれば、この問題を取材する側も両面取材を行ったり、問題の実際について有害かどうかの判断をしっかりしていれば、黒木女史の言い分に無理があることはよく理解ができると思います。

 しかし、そこに果敢に突っ込んでいって前のめりに倒れていった岩上安身さん率いるIWJの状況も見ますと、いわゆる市民運動は反権力、反体制であればどういう話であれ陰謀論と絡んでネットで一定の支持を得られてしまう現実もまた見えるわけであります。

【Kファイルセカンドシーズン】IWJからの抗議及びIWJへの抗議

 何か問題が起きるたび、常に正しく平常心で物事に向き合うことの難しさを、本件では強く示してくれました。関係者の皆様方におかれましてはいろんなことはあったかと思いますが、より良い形でお話が着地することを祈っております。

著者プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

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