自殺行為も同然? ナマケモノのトイレは「命がけ」だってほんと?

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生き物には欠かせない行為なのに下ネタの代表である「トイレ」ネタ。人間なら回数や便秘の話が中心ですが、野生動物では「生死」に関わる深刻な話題なのはご存じでしょうか?

ほ乳類のなかでもっとも動きの遅いナマケモノは、1日かけても数メートルしか移動できず、用を足すのも週に1回程度。超スローな動きで木から降りて、地面におしりをつけて用を足すため、捕食者に見つかったら一巻の終わり……用を足すのも「命がけ」な動物なのです。ため込んだウンチで恋人探しをするハイラックス、しっぽでまき散らして自分の「縄張り」を主張するカバなど、変わった動物が数多く存在するのです。

■トイレに行くのも決死の覚悟

「名は体を表す」の言葉は、まさにナマケモノのためと言えるでしょう。カギ状の爪で木にぶら下がったまま生活するナマケモノは、

 ・毎日20時間睡眠

 ・交尾や出産

 ・食事

と、人生? のほとんどを木の上で過ごします。草食性のため葉や果実を食べ、一日の移動距離は数メートル程度と、動きも遅ければ行動範囲も激セマなのが名前の由来です。そんなナマケモノも地上に降りることがあります。なんとトイレをするために下りてくるのです。

ナマケモノのウンチは週に1回程度で、木に抱きつくようなかっこうで地面におしりをつけて用を足します。草食動物らしいコロコロのウンチを排泄する様子はなんともかわいらしいのですが、ナマケモノにとっては「命がけ」のイベント、あまりにも動きがスローなため、敵に襲われて命を落とす可能性が非常に高いからです。

逃げれば? と思うのが当然でしょうが、ぶら下がって生活するように進化(退化? )したため、地上では「はう」ようにしか移動できません。それ以前に、4本の足には「からだ」を支える筋肉もないので、ハイハイするのがやっとな無力さ……木から下りる行為は、ナマケモノにとって自殺行為に等しいのです。それでも「トイレは地上で」ルールを守り続けるナマケモノは、ハードボイルドな動物と呼ぶべきかも知れません。

■出会い系トイレ誕生!

もし人間だったら迷惑すぎるウンチの動物もいます。仲間と大量にため込むハイラックス、しっぽでまき散らすカバが代表例です。

日本ではなじみの薄いハイラックスは崖の上で暮らす動物で、ほぼ垂直な壁も登れる高い身体能力を誇ります。タヌキの仲間ながらもウサギやネズミをイメージさせるかわいらしい容姿の持ち主なのに、トイレ事情は極悪… 仲間と共同でウンチをため込むヘンな習性を持っているのです。

この行動は「ため糞(ぐそ)」と呼ばれ、なかには深さ50cmにも及ぶ巨大な「ウンチ・プール」を作ることもあります。人間だったら近所迷惑はなはだしい行為ですが、目的はなんと「恋愛」のためで、ウンチの臭いから性別や適齢期を判断し、パートナーを探す手がかりにしているのです。さしずめ「出会い系トイレ」と言ったところでしょうか、見かけによらず、ハイラックスは意外と「おとな」な一面を持っているのです。

ため込むハイラックスとは対称的に、カバはウンチをまき散らす派で、自分の「縄張り」を主張するだけでなく、

 ・「におい」で侵入者を威嚇

 ・遠出するときは「道しるべ」に使う

と便利アイテムで、しっぽをグルグル回すのはそのためです。ちびっ子に人気の高い動物ですが、動物園ではカバ舎の天井にまで届くこともあるというので、しっぽを動かしているときは近寄らないほうが身のためです。

■まとめ

 ・ナマケモノは20時間のロングスリーパー。人生のほとんどを木の上で暮らす

 ・だいたい週1ペースで、地上に降りてウンチをする

 ・地上ではハイハイしかできないので、トイレ中に敵に襲われる可能性・大

 ・ハイラックスは、ウンチをため込んで「出会い系トイレ」を作る

 ・カバがしっぽを振り回すのは、ウンチをまき散らすため

(関口 寿/ガリレオワークス)

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