社会保険適用基準が年収106万円未満に……来年からパートしにくくなるってほんと? (2/2ページ)
社会保険料や住民税は、年収や自治体によって異なりますが、一例として、現行では加入義務のない「年収129万円」の手取り額を、新制度施行後と比較してみると、
・現行 … 所得税+住民税のみ差し引かれ、手取り約125万円
・2016年10月以降 … 所得税+住民税+社会保険料が差し引かれ、手取り約107万円
と減ってしまいます。しかし「106万円の壁」の範囲内なら、
・年収105万円 … 所得税+住民税のみ差し引かれ、手取り約104.5万円
となり、思わずこちらの方が得? と思ってしまいますね。
かりに配偶者の年収が500万円の場合、夫婦で支払う税金/社会保険料の合計から「世帯収入」を算出すると、妻(パートタイマー)の年収が約125万円あれば、社会保険に加入義務のない年収105万円の場合と、同等程度の「世帯収入」が得られるようです。
新制度施行後になって慌てることのないように、「世帯」の手取り額もシミュレーションしておくと安心でしょう。
■新制度のメリット
対象となるパートタイマーは、約25万人とも言われている新制度。目的は、
・パートタイマーの、社会保険における格差を是正
・働かない方が有利になるような「壁」を除去し、女性の就業意欲を促進
のようですが、厚生年金に加入すると、
・失業/出産などの各種手当金の支給
・老後の年金額増
といった、女性に嬉しい社会保障が多いことも事実です。
2016年10月以降、対象となるパートタイマーは、
・年収105万円以内に調整する
・手取り額が減らないよう、仕事を増量する
・社員数500名以下の企業に転職する
など、働き方を再考する必要がありそうですが、社員数500名以下の企業にも、段階的に適用となる可能性が高いので、対象となり得るひとは、今からじっくりと検討していきたいですね。
■まとめ
・2016年10月から「130万円の壁」が「106万円」に引き下げられる予定
・当面は、社員数501名以上の企業に勤めるパートタイマーが対象
・社会保険に加入すると、各種手当金が支給されるなどのメリットもある
(熊田 由紀/ガリレオワークス)