受け取りは全員が鉄則! 共同購入した宝くじの当選金は「みんなのもの」にならないってほんと?
過去最高の1等・7億円になった「宝くじ」。家族や友人と「共同購入」し、当せん金は山分けしよう! なんて話を良く聞きますが、手続きを間違えると「みんなのもの」にならないのはご存じでしょうか?
宝くじの「当せん金」は税金がかからないことで知られていますが、対象となるのは「受け取ったひと」だけ。代表者が受け取ってから分配すると「もらった」扱い、ほかのメンバーは多額の贈与税を支払うハメになります。7人で買ったから1人1億円ずつ、のはずが、受け取りかたをマチガえた瞬間に「半額」になってしまうのです。
■買った時点で「半額」に?
年末の国民的行事ともいえる宝くじは、今年の1等当せん金が7億円、前後賞を合わせると10億円! の過去最高額になりました。ただし1等は27本、総販売数は5億4千万枚の予定なので、当せん確率はわずか0.000005%。単純計算なら、2千万枚買えば1等を引けることになりますが、個人で買える枚数ではありません。枚数が増えれば当せんしやすくなる=仲間を集めて「共同購入」、と考えるのが人情ですね。
宝くじを買うのは「得」なのでしょうか? これは「期待値」と呼ばれ、すべての賞の当せん金と確率を合計することで、1枚買うといくら当たる「可能性」があるかが計算できます。
・1等 … 7億円 × 0.000005% = 35円
・2等 … 1千万円 × 0.0001% = 10円
・3等 … 100万円 × 0.001% = 10円
(中略)
・6等 … 300円 × 10% = 30円
このようにすべての賞を合計した期待値は149.995円、つまり1枚300円の宝くじを買った瞬間に、もらえる当選金の「可能性」は半額未満… くじの印刷や販売の人件費などの「運営費」を考えれば当然で、高額当せんを目指さないと買う意味がない、とも表現できます。
■当選金の受け取りは「全員」が鉄則
仲間7人と共同購入、みごと1等・7億円が当たったらどうなるでしょうか? 宝くじの当せん金は課税対象外なので、均等割ならひとり1億円もらえる計算になりますが、だいじなのが「受け取り」の方法。これをマチガエると、一瞬で「半額」になってしまうのです。
宝くじの当せん金が「非課税」になるのは「受け取ったひと」だけで、たとえばA/Bの2人で共同購入、Aさんが受け取りに行った場合、
・受け取ったAさん … 税金がかからない
・A さんから自分の「取り分」をもらったBさん … 贈与とみなされ課税対象
の構図になり、Bさんは多額の贈与税を払わないといけません。ボクだって購入者だ! と声を大にしても、残念ながら「受け取ったひと」ルールが適用されるので、全員で受け取りに行かないと、とんでもないことになってしまうのです。
わかりやすいところで、
・7人で共同購入
・1等・7億円が当せん
・1人あたり1億円ずつ「山分け」
と仮定すると、全員で受け取りに行けばまるまる1億円ずつもらえるのに対し、うっかり「代表1名」が受け取ると、残りのメンバーは1億円の贈与を受けたことになり、
・1億円 - 基礎控除110万円 = 98,900,000円が税金の対象
・98,900,000円 × 税率55% - 400万円の控除 = 税金50,395,000円
と、受け取れるのは「半分未満」になってしまいます。2等・1千万円を二人で当てた場合は31万円の贈与税で済みますが、もともと「非課税」だけに喜びも半減ですね。
もし受け取りに行かれないひとがいたら、委任状をもらうなどの手続きをすれば大丈夫ですので、早く行きたい気持ちを抑えて事前の準備を確実にしておきましょう。
■まとめ
・今年の年末ジャンボ宝くじの期待値は150円未満
・1等・7億円を当てる確率は0.000005%
・仲間と共同購入した場合、当せん金を「受け取りに行ったひと」だけが非課税
・代表者が受け取ったあとで山分けすると贈与税が発生する
・受け取りにいかれないひとは「委任状」を用意するなどの手続きが必要
(関口 寿/ガリレオワークス)