「市民の足」としてのエアライン 問題山積のインドネシア航空事情

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「市民の足」としてのエアライン 問題山積のインドネシア航空事情

インドネシアは、東西に幅広く高低差もある国だ。そのような地域では、飛行機が欠かせない。

例えば、南米のコロンビアでも、山間部に住む市民のために往年の名機『ダグラスDC-3』で連絡網を保っている。インドネシアは、さすがに『DC-3』は博物館に入れられているが、それでも双発レシプロ機を交通の便の悪い、地方島嶼部に飛ばしている。

この国は、飛行機の存在なくして語れない。島々の行き来をつなぐ航空会社は、過疎化した集落のスーパーマーケットのようなものだ。

それがなくなれば、市民生活は麻痺してしまう。

■ 飛行機は生活の一部

東ヌサ・トゥンガラ州は、インドネシアの中で最も発展の遅れた地域だ。

その最大の理由は、地形である。細長い火山島で、平野面積が極端に小さい。海岸と山が急接近しているような地域なのだ。

特にフローレス島は、都市間の移動に大変な労力を消費する。例えば、同島最大の都市マウメレから中部エンデまでは、バスで5時間ほど。その5時間は、日光のいろは坂みたいな急カーブ地帯を常に走っている。地元民ですら耐え難いほどの苦行だ。

舗装状況もあまり良くない。雨季には崖崩れが頻発し、通行止めになる。

そういう場合は、崖崩れが発生した地点の向こう側にもう1台バスを呼び、客と荷物をそこに移させる。

急カーブの道路なのにガードレールがないため、時たまハンドル操作を誤って転落してしまうバスもある。

そんな有様だから、地元民はバスではなく飛行機を選びたがる。当然の心理だろう。

だがインドネシアのエアラインも、様々な問題を抱えている。

■ 航空会社の抱える問題

2014年2月、国営航空会社メルパティ航空が運行を停止した。

メルパティ航空の巨額赤字問題は、以前からインドネシアの新聞を賑わせていた。外国人観光客があまり来ることはない東部島嶼地帯をつなぐエアラインだから、そもそも大きな利益など見込めない。だから一度経営が悪化すれば、それを挽回させるのは難しい。

もっともメルパティ航空は、そのダメージを公的資金投入というカンフル注射で誤魔化していた。だがそれも限界に達したのだ。

今ではメルパティ航空の代替をライオン航空、トランス・ヌサ航空などが担っている。特にライオン航空は、インドネシア資本最大の格安航空会社だ。圧倒的な就航エリアを誇ることでも知られている。

ライオン航空は地方を結ぶエアラインとして、大いに期待されている。いや、期待されていた。

筆者がこの記事を書いている2015年12月、インドネシア市民のライオン航空に対する目は非常に厳しい。


■ 副機長の喘ぎ声!?

インドネシアは、航空事故が多いことで有名だ。昨年12月のエアアジア墜落事故は、まだ記憶に新しいだろう。

ライオン航空は、乗客死亡に至らずとも重大な不祥事をよく起こす。今年の11月14日、スラバヤ発デンパサール行きのライオン航空の便で副機長が謎のうめき声を出し、さらに「遅延のお詫び」と称して独身の客室乗務員を乗客にプレゼントするという意味不明のアナウンスを行った。

筆者もこの文章を書きつつ理解に苦しんでいるのだが、ともかくアナウンスを通して副機長の激しい吐息や喘ぎが流れたそうだ。

また、同月21日にはジャカルタのスカルノ・ハッタ空港で、遅延便を待っていた乗客が同区間後発便の離陸を阻止するという事態が発生した。長時間の遅延があった場合、代替機を用意するのが通常の対応だが、この時はそれがなく乗客は置き去りにされていたようだ。

しかも、この遅延便は、何と飛行許可を申請していなかったということまで明らかにされた。インドネシアの航空業界には、残念ながらこうした杜撰さがある。

飛行機を必要不可欠とする一方、運行面での管理に大きな問題があるインドネシア。縦割りの官僚主義も相成り、対策はいつも後手に回っている。

だが不祥事の多い航空会社だろうと、地方島嶼部の市民にとっては重要な移動手段ということに変わりはない。不祥事ばかりの会社の飛行機なんか乗らない、というわけにはいかないのだ。

この国の航空業界関係者は、意識を変えなければいけない時を迎えている。

【参考・画像】

※ 怒った乗客が離陸阻止 ライオンエア トラブル相次ぐ 運輸省が処分検討 – じゃかるた新聞

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