安倍首相の側近にも疑惑? 政界に横行する”秘書給与ピンハネ”の内情 (2/2ページ)
安倍総理側近の某補佐官も詐取している?
現職の公設秘書連中は「過去にあれだけ逮捕者を出しているんですから、いまどき公設秘書の給与をピンハネする議員など誰もいませんよ」と口を揃える。だが、それは嘘だ。なぜなら筆者にも時折、かつての秘書仲間から「◯◯議員が秘書給与を上納してくれる政策秘書の有資格者を探している。アンタ、どうだ?」などという話が舞い込むからだ。
筆者も物書きの端くれだし、多少の良識はあるから、質の悪い議員どもに「国民の血税」を「不当利得」させたくない。「バカバカしい」と即座に断ることにしているのだが、国会議員というのはエラソーに天下国家を論じながら「出るカネは一円でも払いたくない。入るカネは一円でも多く欲しい」と考えるような、すこぶるセコイ人種が多いから、本心では誰もが秘書給与のピンハネを狙っていることは間違いない。安倍総理の側近の某総理大臣補佐官の政策秘書などは重い糖尿病で勤務実態も怪しいものから、秘書給与の「詐取」にあたる可能性を否定できない。
小島議員は宮沢喜一元総理の秘書から広島県議を7期務めた、いわゆる「地方政界のドン」上がりだから、後援会組織をしっかりしているはずだし、下手な国会議員などより政治献金も多かったはずだ。それでも秘書給与のピンハネなどに拘ったのは、まさに「カネの亡者」だったからに他ならない。国会議員などという人種は、「もらうカネは一円でも多いほうがいい」と主婦のようにカネに細かい者が多いが、小島もその類だったのであろう。
ところで今年になって秘書給与のピンハネで「強要罪」と「政治資金規制法違反」の容疑で秘書から刑事告発されたのは、小島議員だけではない。2015年2月の本会議で共産党に「テロ政党だ」などとヤジを飛ばし、謝罪に追い込まれた自民党の山田賢治衆議院議員がいる。山田議員は第一秘書が2013年2月に痴漢容疑で逮捕された際、野田某を後任の第一秘書に昇格させたが、その条件として給料の一部を事務所に還流するように要求し、計167万円をピンハネしたという。いずれにせよ、公設秘書給与の詐取とピンハネは古くて新しい「政治とカネ」の問題で、日本の政治家の資質が変わらない限り、これからも続くに違いない。
- 朝倉秀雄(あさくらひでお)
- ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中