漫画賞も受賞! 京都精華大のマンガ学部でプロを目指す嶌村紗帆さんにいろいろ話を聞いてみた!

学生の窓口


京都精華大学は「マンガ学部」を設け、漫画家を育成するためのコースを持つユニークな大学として知られています。また実際に多数の漫画家を輩出する成果を挙げています。今回は、京都精華大学でプロ漫画家を目指している大学生にインタビューしました。

京都精華大学マンガ学部ストーリーマンガコース4年生の嶌村紗帆(シマムラサホ)さんにお話を伺いました。嶌村さんは、漫画家さそうあきら先生(『神童』『マエストロ』など作品多数)のゼミに属しています。

↑京都精華大学4年生の嶌村紗帆さん。

――漫画家になりたいと思ったのはいつでしたか?

嶌村さん 小さいころから「何かを作る人になりたい」と思っていました。絵を描くことも好きだったので、小学校5年生のときには京都精華大学のマンガ学部に入りたいと思っていました。お話を作れるし、絵も描けるので漫画家になりたいと思ったのは中学生のときですね。

――えっ? 漫画家になる前に大学のマンガ学部に入りたいと思ったのですか?

嶌村さん はい。絵を描くのを習いに小さなアトリエに通っていたのですが、そこで京都精華大学のことを知りまして。そのころからぼんやりと行きたいと思っていました。

――実際に漫画を描き始めたのはいつからですか?

嶌村さん 小学校2年生のときには友達をモデルにして4コマ漫画を描いていました。コマを割ってストーリー漫画を描き始めたのは高校3年生の6月ぐらいでした。でも、ペン入れを行って本格的に漫画を描いたのは大学生になってからです。

――絵の勉強などはされましたか?

嶌村さん  (京都精華大学を)受験すると決めていたので小学校高学年の辺りから前述の絵画教室にてデッサンの基礎を学びました。高校のときは文芸部に入って小説を書いていました。

――なるほど。プロの漫画家になるには「とにかく量を描くこと」だといわれますが、大学に入ってからどのくらいのページ数を描かれましたか?

嶌村さん そうですね、200ページを超えるぐらい描いていると思います。ネームの量だけだともっと描いています。大学2年生のときに『ジャンプSQ.』(ジャンプスクエア)誌の「クラウン新人漫画賞」に投稿して「審査員特別賞」を頂いたのですが、その後同誌の編集さんにネームを添削してもらってたぶん400ページぐらいはネームを描いていると思います。


↑嶌村さんの描いたネームの山。漫画家になるにはたくさんのネームを描かないとなりません。

――それはすごいですね。『ジャンプSQ.』ということは少年誌・青年誌に漫画を描きたいのでしょうか?

嶌村さん いえ、こだわりはありませんが、そのときはすでに担当になっていただいていたご縁がありましたので。

――受賞した作品はどのような内容でしたか?

嶌村さん 『恋文教室』(ペンネーム:手名町紗帆/読み:てなまちさほ)というタイトルで、主人公の女の子がラブレターを書いて靴箱に入れるのですが、誤って文芸部の男の子の靴箱に入れてしまい、その男の子が手紙の書き方を添削してきて……というお話です。


集英社「第13回ジャンプSQ.クラウン新人漫画賞」

審査員特別賞受賞作「恋文教室」手名町紗帆

⇒『ジャンプSQ.』公式サイト 「第13回ジャンプSQ.クラウン新人漫画賞」

http://jumpsq.shueisha.co.jp/mangasyou/crown/index...

――それは面白そうですね。リスペクトしている漫画家さんはいらっしゃいますか?

嶌村さん まず松井優征(まついゆうせい)先生。松井先生の『魔人探偵脳噛ネウロ』には、高校受験のすごくつらい時期にとても励まされました。「人間の可能性は無限なのだ!」という内容に助けられました。とても尊敬しています。

助野嘉昭(すけのよしあき)先生。助野先生は同じ京都精華大学出身で、『ジャンプSQ.』で『双星の陰陽師』を連載されています。実は助野先生は同じ絵画教室の先輩なんです。それもあって『ジャンプSQ.』に投稿しました。憧れの先輩ですね。

そして羽海野チカ先生。羽海野先生の描く漫画は大好きですし、漫画に対する姿勢がとても好きで尊敬しています。

それから、ゼミの先生であるさそうあきら先生。担当の学年やゼミ生でなくとも、作品を持っていくと丁寧に指導してくださるし、卒業生からも添削の依頼が来るそうです。

私も何度も作品を見ていただいているのですが、的確な指示の中に暖かい励ましのコメントが付いていて、いつもやる気が出ます。それにしてもお忙しい中どうやって時間を作っているのか謎だと、学生の間でもっぱらの噂です(笑)。




↑嶌村さんの卒業制作『夜鷹と六等星』

――これからどんな漫画を描きたいと思いますか?

嶌村さん 「ガチな漫画」でしょうか。これは羽海野先生が雑誌(出典:『ダ・ヴィンチ』2011年9月号)でおっしゃっていた言葉です。「こちらが本気(ガチ)で伝えたいことを描かないと、読者も本気で共感してくれない。嘘やごまかしを描いても通じない」という先生の言葉を読んで、それ以来自分が漫画を描く際の指針にしています。なかなかうまく描けませんが、それが私の理想です。

――なるほど。

嶌村さん また、誰かの世界を「変える」話が描きたいですね。漫画に限ったことではないですが、物語って、受け取る側を肯定したり、叱責したり、それまでの価値観を覆して全く違う新しい感じ方を教えてくれたりするじゃないですか。

それって大げさに言うと「読者の世界を変える」ことだと思うんです。今までいろんな漫画を読んで、励まされたり救われたりした経験が何度もあるので、私もそういう「誰かの世界を変える」漫画を描きたいな……と。

――漫画家として食べていくのはとても大変だと思うのですが、ぜひ頑張って素晴らしい漫画を描いてください。

嶌村さん はい。母親からは「漫画家になるまで帰ってくるな」と言われているので(笑)、頑張ります。

――ありがとうございました。

嶌村紗帆さんは、手名町紗帆(てなまちさほ)というペンネームでプロの道を進んでいくとのこと。雑誌でこの名前を見掛けたらぜひその漫画に注目してください!

⇒『京都精華大学』公式サイト

http://www.kyoto-seika.ac.jp/

⇒手名町紗帆Twitter

@tenacitysaho

(高橋モータース@dcp)

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