【衝撃】馬1頭は実は「3馬力」……ってどういうこと!? わかりづらい単位「馬力」の真実

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「ちから」の単位で知られる「馬力」。現在はW(ワット)で表示されることになり、自動車などでは慣習的に300馬力など呼ばれることもありますが、肝心の馬1頭は1馬力以上なのはご存じでしょうか?

「馬力」は蒸気機関で知られるジェームズ・ワットが作った単位で、イギリスで使われるポンド/フィートなどをもとに定義しましたが、フランスではkg(キロ・グラム)やメートルを基準に計算したため異なる結果に。
国によって大きさが異なるヘンな単位となってしまいました。その名から「馬1頭分」と思われがちですが、全力疾走するサラブレッドはおよそ3馬力、きわめて短時間なら人間でも出せる力なのです。

■フランスの1馬力は0.986馬力?

「馬力」という単位が生まれたのは18世紀で、ジェームズ・ワットが蒸気機関の性能をあらわすために考案しました。クルマやバイクでは馬力が大きいほど加速が良くなり、レース用には1,000馬力なんて強力なエンジンも存在します。1999年からはW(ワット)で表示されることになったので、熱? 力? と迷うひとも少なくないはず。じつは馬力の定義は「国」によって違うため、同じエンジンでも輸出先国では数値が増えたり減ったり……まぎらわしさこの上ない単位だったのが、Wに統一された一因なのです。

1馬力は、どうやって決まったのでしょうか? ワットの1馬力は、馬が荷物を引く様子から、

 ・180ポンドの荷物(約81.6kg)を

 ・1時間かけて

 ・10,852フィート(約3,300m)移動させた

ときの力と定義され、重さ × 移動距離 ÷ 時間から、毎秒542.6フィート・ポンドと提唱しました。ただし546.2が基準では計算がメンドウなので、「550ポンドのものを1秒間で1フィート動かす」力と定義されたのです。

ところが、イギリスはヤード・ポンド法なので都合が良いでしょうが、日本のようにメートル法が使われている国では換算しなくてはなりません。そこでフランスは、

 ・75kgの荷物を

 ・1秒間に

 ・1m移動させる

と決めたため、フランスの1馬力はイギリスの0.986馬力と小さくなってしまったのです。そのため厳密には英馬力/仏馬力と表記しますが、知らないひとにとっては「ナンで減る? 」と疑わしさ満点の単位ですね。

■1馬力の人間、3馬力の馬

1馬力は、どれくらいの力なのでしょうか? 名前から「馬が走っているとき」をイメージするひとが多いでしょう。ところが1馬力は意外と小さく、馬なら楽勝、瞬間的なら人間でも出せるほどの力しかないのです。

日常生活で見かけるおよその力を、1馬力=735.5Wで換算すると、

 ・6畳用のエアコン(冷房) … 3馬力

 ・10畳用のエアコン(冷房) … 4馬力

 ・短距離走の人間 … 1馬力

 ・全力疾走する競走馬 … 3馬力

と、瞬間的なら人間でも出せる力で、サラブレッドはその3倍もの「馬力」を持っているのです。

日本の「馬力」は750Wと定められていたので、秋葉原の隣の博士が作った10万馬力の国民的ロボットは75,000kW扱い、1時間稼働させると電気代およそ225万円に匹敵しますので、緊急時以外は呼ばないほうが良さそうです。

■まとめ

 ・「馬力」という単位を作ったのは、蒸気機関の生みの親であるジェームズ・ワット

 ・イギリスの1馬力はポンド/フィートをもとに定義された

 ・フランスではkgとメートルで計算されるため、イギリス馬力の0.98倍ほどになる

 ・日本でも独自の「馬力」があり、ややこしすぎ

 ・全力疾走の人間は1馬力程度、サラブレッドなら3馬力も出せる

(関口 寿/ガリレオワークス)

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