数千年の眠りから次々と目を覚ます氷の中の生命体が生物の進化をひも解く時 (3/4ページ)
ゲノムが絶滅危惧種を救う

現在、絶滅危惧種の遺伝子に「ブースト」を加える事で生存率を高める技術が模索されているようだ。とある集団が密集してしまう時、そこで失われるのは「遺伝子の多様性」である。遺伝子の多様性は生物が新しい危機に直面した時(例えば気候変動や疫病など)、その危機に対抗する手段を最短で見つけ出す為に重要なのだ。いわゆる「ボトルネック」と呼ばれる「多様性の無い集団」は基本的に進化に負け、絶滅して行くしかないのだ。
遺伝子保存学の研究者たちはこの原理を使って種の生存率を上げようとしている。例えば非営利団体である「リバイブ・アンド・リストア」などはクライオジェニック凍結を用いてクロアシイタチの先祖の細胞を残し、そのゲノムを解析する事で現在紙一重の所で絶滅危惧種への登録から逃れているクロアシイタチを救いだせるかも知れないと考えている。ちなみにクロアシイタチのケースは非常に稀なのだそうで、ここまで完璧にクロアシイタチの多様性を呼び戻す細胞の発見は奇跡的だという。
現在多くの科学者がククライオジェニック凍結法を用いて、クライオバンクという「世界中から生物の細胞を集めた生物の遺伝子情報のメガバンク」を作成する事を夢見ているという。
2012年にとある科学者グループはシベリアのツンドラでスガワラビランジという3万年以上前に凍結された植物の再生に成功した。この植物のゲノム配列には現代の花々に無い配列があり、またこれまで記録された事のない生態や生殖法を持っていたという。この研究は多くの科学者を魅了し、将来的には太古の生物をよみがえらせ、現代に再登場させる事が出来るのではないかという期待が高まっている。