「思いやり」も「愛」も感じられる! バーチャルペットも「ペット」になれるってほんと?
子どもの社会性にも好影響を与える「ペット」。好きな動物と一緒に暮らしたいけど、ちゃんと世話できるか不安で、あきらめているひとも少なくないでしょう。
パソコンやスマホで見かける「バーチャルペット」はどのような効果があるのでしょうか? いくら愛着を持っても画面の向こうの存在であり、対話ができても「プログラムの結果」なのはまぎれもない事実ですが、想像以上に好印象で、愛着や仲間意識を持つことがわかりました。ただし、こちらの「ことば」が通じず聞き返しが多いと気分は一気に低迷、男性は「動物」をイメージしながら接するひとが多く、時間とともにトーンダウンしてしまうなど、改良の余地はまだまだありそうです。
■ペットと暮らせば元気になれる?
2013年のデータから、日本のペット飼育率は、
・イヌ … 15.8%
・ネコ … 10.1%
・金魚や熱帯魚 … 7.7%
と、3割強のひとがなにかしらの動物と暮らしています。ただしペット禁止物件に住んでいる、ひとり暮らしなので充分に世話できないなどの理由で諦めているひとも多く、制約がなければペットと暮らしたいと思っているひとは56.3%とのデータから、半数しか実現できていないのが現実です。
ペットとの暮らしには、どのような効果があるのでしょうか? かわいい、癒やされるなどの単語をよく耳にしますが、人間は養育行動によって、ペットは愛着を感じることでオキシトシンというホルモンが増え、これがリラックス感の源であることがわかりました。また、子どもには責任感や忍耐力、高齢者は孤独感の軽減だけでなく、安心感や「やる気」が増えることもわかりました。ペットを飼っているひとは通院回数が減るというデータもあり、海外では医療費を減らす効果に期待が寄せられるなど、動物と一緒に暮らすことによって多くの恩恵を受けられるのです。
■バーチャルでも高い好感度
パソコンやゲーム機の「バーチャルペット」では、動物に接するのと同じような愛情を持てるのでしょうか? もちろん実在の動物ではありませんので、マウスの操作や文字による対話で接する仕組みですが、答えはYesで、多くのひとが望ましく感じることがわかりました。
大学生およそ130人を対象に調査した結果によると、バーチャルペットに対し、
・仲間だと感じる
・「思いやり」を与えてくれる
・愛するものを与えてくれる
のスコアが高く、「快」と感じるひとが多いことがわかりました。ただし、
・自分が必要とされている
・信頼されている
・自分の生活の「安定」につながっている
などは不調なのは相手が機械であると認識している証拠であり、動物と接するのと同じとはいえない結果になりました。
バーチャルならではの弱点も多く、対話中に聞き返される、会話がかみあわないとトーンダウンすることから、文字や文脈の判定が重要であることもわかりました。ある意味でチャットのような仕組みですから、対話がギクシャクすれば興味を失うのも当然ですね。
また、バーチャルペットと接することで、かえって気分が落ち込む現象も見られました。これは本物のペットをイメージすることが原因と考えられ、勝手に「期待外れ」感を持つために起きる現象で、男性に多く見られたのもペットと暮らした経験が多いから、と考えられています。
まだ完成とは呼べない域ですが、バーチャルペットも立派なペットになり得る可能性を意味した結果であり、住宅環境や高齢化を考えると「朗報」と呼べるでしょう。
■まとめ
・ペットを飼いたいひとは6割近くいるのに、実際に飼っているひとは3割程度
・ペットに「癒やし」を感じるのは、オキシトシンというホルモンが増えるため
・バーチャルペットでも「仲間」「思いやり」を感じるひとが多数
・会話がかみあわないことが、トーンダウンする大きな原因
(関口 寿/ガリレオワークス)