銃大国アメリカの鍵を握る企業「スミス・アンド・ウェッソン」とは? (2/3ページ)

FUTURUS

こうして開発された製品は、ホーレスとダニエルに巨利をもたらした。創業からわずか5年後に南北戦争が勃発したからである。

S&Wは、この戦争でライバルのコルト・ファイアアームズ以上の印象を軍関係者にアピールした。

32口径のリボルバー銃『No.2』は、北軍兵士の良き相棒になっただけではなく、世界中に輸出された。坂本龍馬もこの『No.2』を使用していたほどだ。


■ 不安定な経営実態

S&Wは、浮き沈みの激しい会社としても知られている。

戦争特需に支えられている会社は、世の中が平和になった時が一番危うい。南北戦争終了後、ホーレス・スミスが隠居するとS&Wの経営権はダニエル・ウェッソンと彼の3人の息子に分割された。

だが最初に次男が早逝し、そして創業者である父が息を引き取ると、長男と三男とで内紛が発生した。この辺り、毛利元就の「三本の矢」のようにはいかなかったようだ。

その後、世界は二度の大戦争を経験するが、S&Wは世界大戦が勃発する度に生産拡大を打ち出した。そしてそれが終わると、やはり経営難に陥り内紛が発生するという事態に見舞われた。

銃産業は、決して安定した業種ではないのだ。

近年も、S&Wは重大な局面に遭遇した。ヨーロッパメーカーの台頭である。

アメリカの銃市場は、自動車のそれに似ている。今や国内企業の影は薄くなり、外国企業の製品が幅を利かせている状態だ。アメリカ軍ですらも、自国製品を捨てヨーロッパメーカーの銃を採用するという有様だ。

ならば、頼るべきは国内の一般市民からの需要である。

■ 株価を支えるもの

銃器メーカーや全米ライフル協会が、声高に「銃規制反対!」を唱え、子飼いの政治家に何度も演説をさせているには訳がある。

銃の潜在需要を呼び起こすためだ。

その試みは成功しつつある。アメリカ国内で相次ぐ乱射事件は、同時に銃の駆け込み需要を発生させる大きなきっかけとなった。S&Wの株価も、2015年の間に堅調な伸びを見せている。

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