秋津壽男“どっち?”の健康学「健康づくりに始めたランニングの落とし穴 はまってしまうと危ない中毒性にご注意を」 (1/2ページ)
あけましておめでとうございます。今年も皆さんが健やかになれる健康学をお話ししていきます。よろしくお願いいたします。
正月の風物詩・箱根駅伝が終わりましたが、最近はマラソンを主催する自治体が増えました。2月に開かれる東京マラソンの抽選倍率など10倍以上。まさにマラソン大国と言っていいでしょう。
「健康にいい」とのイメージから市民ランナーは増える一方ですが、では健康を考えた場合、ランニングとウオーキング、どちらがよりリスクが低いでしょう?
これは断然ウオーキングです。実は、ランニングとは全ての年代を通して最も突然死が多く、医者の立場からはオススメできないスポーツなのです。
さらにランニングには中毒性がついて回ります。いわゆる「ランナーズハイ」と言われるもので、長時間走り続けると気分が高揚して多幸感に包まれますが、これは「脳内麻薬」に由来します。脳内の神経伝達物質=エンドルフィンが分泌され、気づかぬうちにクセになり、走らないとムズムズしてきます。これが要注意です。
健康のためにやっていたランニングがいつしか病みつきになり、天候や体調にかかわらず走りたい衝動に駆られます。ハーフマラソンがマラソンになり、トライアスロンになり、気がつけばアイアンマンを目指す。それほどのめり込む人もいますが、雨の中や寒さの中で走り続けると、思わぬ突然死を招くのです。
アメリカの医療専門誌で、興味深い研究結果が発表されました。死亡リスクを高めないランニングは、次の3つの条件を満たす必要があるとのことです。
「走行距離が1週間に32キロを超えない」
「走る速度が時速8~11.2キロ」
「走る回数が1週間に2~5回以内」
以上の条件を超えて走ると「寿命を延ばす効果はなくなる」と結論づけられていましたが、時計を見ながらのタイムアップを目指すランニングなど、この条件を逸脱するでしょう。
ランニングを途中でやめるのは勇気のいることですが、息苦しいと感じたら絶対無理をしないことです。