金正恩氏の指示が招く北朝鮮の「産地偽装」 (1/2ページ)
北朝鮮の金正恩第一書記は、今年の元日に発表した「新年の辞」で「輸入病を打破せよ」と訴えた。
輸入病とは、金正恩氏曰く「何でもかんでも輸入に頼る傾向」のこと。生産現場において、資材や原材料などに外国製品、主に中国製品を使うことに依存するなというわけだ。しかし、そう言いながらも、本人は舶来ブランドに相当なコダワリを持っている。
例えば、金正恩氏と李雪主夫人はスイス製のペア・ウォッチを愛用。正恩氏がいつも身に着けている、かつての日本のヤンキーが愛用していたようなルーズ・フィットの人民服の生地は英国製。李雪主夫人は、フランス製の高級バッグを常に持ち歩くーーというわけで、いくら「国産化」を叫ぼうとも説得力の欠片もない。
(参考記事:金正恩・李雪主夫妻はブランド好き…最高尊厳カップルは、贅沢も最高級)
金正恩氏の主張に沿って、昨年の労働新聞も「輸入病は思想的な病気」「永遠に他人に依存しようとする馬鹿になってしまう」などと、輸入依存と製品の国産化を訴えている。しかし、すべての国産化を目指そうとも、多くの国営工場は原材料や電気の不足、設備の老朽化、従業員の意欲低下、技術導入の遅れなどで開店休業状態だ。
だからと言って、金正恩氏の指示に背いたり、ノルマを達成できなければ、今度は処罰が待っている。上からの指示と現場事情の間で板挟みになって、困り果てた工場幹部が編み出した奥の手、それは「産地偽装」だ。
北朝鮮の市場で販売される多くの中国製品。かつては、ドンジュ(金主)と言われる新興富裕層や卸売業者が中国から製品を輸入し、市場に卸していた。しかし、最近では国営企業が輸入権を独占しているという。
実は、国営企業は、輸入した中国製品のラベルを自社のものに貼り替え、あたかも「国産品」であるかのごとく「産地偽装」して、市場に卸しているのだ。そのうえで、上部には「我が工場では、こんなにも多くの製品を製造している」と報告する。
この産地偽装は、上層部だけでなく消費者もターゲットだ。カラクリを知らない北朝鮮の消費者が「最近は国産品も質がよくなったもんだ」と評価して、国営企業製品のイメージアップが狙いでもある。