冬の交通手段はコレ? 「犬ぞり」で道路を走ってもOKってほんと?
数十年ぶりと言われる今年の「寒気」。雪不足に悩まされていたのが一転、スキー場もにぎわいをみせているようです。
道路で「そり」やスキーをしても良いのでしょうか? トナカイや犬にひかせるそりは道路交通法でも認められたりっぱな軽車両、自転車と同じ扱いなので堂々と走ることができます。対してスキーはビミョウな立場で、交通量の多い道路でローラースケート「など」は禁止とあいまいな定めがあるため、NGになる可能性大です。自治体によっては条例でスケートボード「など」が禁止されている地域もあるので、事前に確認しておくのがよさそうです。
■犬ぞりでGo!
エンジンやモーターで動くクルマやバイクは免許が必要、自分でこぐ自転車は不要なのは誰でも知っているでしょう。それでは動物にひかせる「そり」はどうなるのでしょうか? 自力じゃない=免許が必要、と考えればクルマあつかいになりそうですが、日本では軽車両。真っ赤なお鼻のトナカイのそり、南極探検の犬ぞりも免許不要、道路を走っても問題ありません。これは道路交通法・2条-11が根拠で、
・他人もしくは動物の力で運転する車、そり、牛馬
と記され、タイヤもエンジンもないけど「車両」あつかい。安全に運転できるなら、自転車と同様に誰でも走らせることができるのです。
夜に走らせても良いのでしょうか? これも道路交通法・52条によって、
・車両等は、政令で定めるように前照灯、尾灯などをつけなければならない
と定められ、軽車両とあつかわれるそりにも該当し、前照灯などを装着しておけば夜間のドライブも可能。ヘッドライトを点灯させながらプレゼントを配るサンタは想像できませんが、条件をクリアすればリアル・サンタも夢ではないのです。
■スキーやスノボは違反になる可能性も
動物がひくそりがOKなら、スキーやスノーボードはもちろん大丈夫だと思うのが人情ですが、じつはかなりビミョウな立場。道路交通法、自治体の条例ともに引っかかる可能性があるのです。
道路交通法ではスキーに関する定めはありませんが、ローラースケートは76条-3の禁止行為になり、これに「類する」と判断されると違反になってしまうからです。
・交通のひんぱんな道路ではローラースケート、これに類する行為は禁止
交通が「ひんぱん」かどうかもはっきりした基準がありませんし、「類する」と言われてしまえばそれまで。それ以前に危険ですから、腕に自信があるひともクルマ通りのある道路でスキーは自粛して頂きたいものです。
また、自治体によっては迷惑行為防止条例にひっかかる可能性もあります。対象はやはりローラースケートやスケートボードですが、同様に「これに類する」と記されていたり、雪の上ならOKと記されてもいないからです。
大雪が降ってもラクに移動できそうですが、都心部での「スキー通学」はムリそうです。どうしてもと思うひとは、来年に向けてトナカイを育ててみるのも一興でしょう。
■まとめ
・トナカイや犬がひく「そり」は、自転車と同じ「軽車両」として扱われる
・免許不要、夜間もヘッドライトなどをつければ問題なし
・人力のローラースケートには禁止事項がある
・スキーやスノボは、ローラースケートに「類する」行為に該当する可能性あり
(関口 寿/ガリレオワークス)