【冴え女シリーズ(11)】[マスターの不器用な優しさに]第12話(前半)「また勘違いをしているな」 (2/3ページ)
だから、あれは妹の心境的に、仲の良かった兄が取られるのが嫌っていう子供っぽい独占欲の現れだったのよ」
優士「妹が兄にあんな顔をするか」
蘭 「だからどういう顔なのよ」
優士「う~ん」
蘭 「なんでそこで唸るの?」
優士「あの時・・・君が俺にみせた顔は・・・女性だった」
蘭 「そりゃあ、私女だもの」
優士「俺は、喫茶店のマスターじゃない。君に、ひとりの男として見られたと感じた。ひとりの女性に、居もしない彼女の事を嫉妬されたのだと」
蘭 「ちがっ、それはだから私の幼稚な独占欲からきたものであってそういう意味じゃないの」
優士「本当か?」
蘭 「そうよ、私がマスターに嫉妬するわけないじゃない。そんな資格は私なんかに無いもの・・・私はマスターに迷惑かけてばかりで、甘ったれで、騙されやすくてなんにもなくて、お客さんだからマスターと話せてるだけ。私がただの女だったら、マスターは私とこんな風に話してくれなかった」
優士「また卑屈になる」
蘭 「だってそうでしょ? マスターが好きになる人は完璧な人。お姉さんみたいにバリバリ仕事ができて綺麗な人。私なんて相手にもされない。マスターに恋するその他大勢になるなら、私はたったひとりの手のかかるお客でいいの」
優士「君のその気持ちは、本当に妹が兄に抱くものか?」
蘭 「っ・・・やだ・・・わかりたくない。知りたくない。こんな気持ちを向けたら、女になったら、マスターにフられちゃう・・・もうここに来られなくなっちゃう」
優士「俺は君に気持ちを向けられたからってもう店にくるななんて言わない」
蘭 「私がきっと耐えられない! 私あさましいから優しいマスターに期待するわ。期待して、それで欲しい気持ちをもらえなくて勝手に絶望するの・・・。