1万人の店長が教えてくれた「成果を出している店長」の共通点
『1万人が実践している 売れる店長の全技術』(丹羽英之著、かんき出版)の著者は、船井総合研究所の経営コンサルタント。商業施設のテナント活性化のプロフェッショナルとして、ショッピングセンターの集客プロモーションから開発・リニューアルまでを積極的に支援してきた実績の持ち主です。
入社してから23年間で1万店舗の店長と出会ってきたそうで、その1万人から教わったことがあるのだとか。
それは、成果を出している店長には共通したキーワードがあるということ。また同時に、誰にでも簡単に真似できるコツもあるといいます。
だとすれば店長さんだけでなく、販売に携わっているすべての人は、ぜひ応用したいところです。
■1:「おかげさまで」を口ぐせにする
相手がお客様でも取引先でも、なにか聞かれたら「おかげさまで」と最初に返すようにするといい。著者はそう主張しています。
なぜなら「おかげさまで」が口ぐせになると、自然に否定的な印象ではなくなるものだから。
例をあげてみましょう。たとえば「最近、ご商売はいかがですか?」とたずねられたとします。そんなとき、「いやぁ、よくないですねえ」と答えてしまったら、そこで会話は終わってしまいます。
それどころか、たずねた相手もそれを聞いていたスタッフも、「悪いんだ」という印象を持つだけです。
でも、「おかげさまで……」と先にいえば、「売り上げはちょっと厳しいんですけど、お客様は増えていまして」と肯定的に締めくくることが可能。
つまり「おかげさまで」が口ぐせになると、ポジティブになり、人あたりも変わってくるということ。また対応もよくなり、感謝の気持ちも伝わるというわけです。
■2:休憩に入る際、「ついで」に声をかける
休憩に入るとき、気が利く人は「休憩に行きます。なにか帰りに買ってくるものはありますか?」と同僚に聞けるのだといいます。
そして店長を含めた全スタッフが、日ごろからこうしたことを実践しているお店は、チームワークを感じさせるもの。
実際のところ著者も、長年続いている老舗には、そのような文化が根づいていることが多いと感じるそうです。
口先だけでなく、店長自ら率先してやる。そうすることで、スタッフが自然と真似するようになるわけです。
■3:スタッフに「教えて、助けて」と素直に聞く
部下の力を借りるためには、本気で褒めて、感謝することが大切。また、それに加えて最強の店長は、スタッフに「教えて」と素直に頼ることができるのだといいます。
本当はわかっていて、できることであったとしても、「私と違うやり方もあると思うから助けて」とスタッフに軽くアドバイスを求める。そんなことができる店長には、力量があるということ。
そういうことがいえる人は、どこかのタイミングで「こうすることでいちばん人が育つ、こうすることで現場のモチベーションが上がる」ということに気づいたのだろうと著者は分析しています。
■4:気配りで、女性によく働いてもらう
流通・小売業で働く人には、店長を筆頭として女性が多いもの。そこで、彼女たちにいかに気持ちよく働いてもらうかが重要だといいます。
しかし現実的には多くの店長が、女性スタッフを使うことに苦手意識を持っているものだというのも事実。
また女性店長にはバリバリ働いて昇格した人が多いため、「普通」の女性の気持ちがわからないことがあるのだとか。
だとすれば、女性特有の気持ちや事情がわからない男性店長にとって、それはなおさらわからないことであるはずです。
なお女性に対して特に気をつけるべきは、次の2点。
・オンリーワンであることを認めて、順序はつけない
・マメに気づくことで、関心を持っていることを伝える
特に2つ目の「関心を持っている」ことが伝わるのは、男性にとってもうれしいことではないでしょうか。
■5:女性スタッフには順序をつけない
女性のほめ方は難しいもの。あまり露骨にやってしまうと、波風が立つこともあるからです。
また女性には横並びを好む傾向があり、そうでなくとも順序をつけるようなほめ方はよくないと著者。
変に評価されてしまうと、逆に「まわりからいじめられるのでは?」と気にして、ドキドキしてしまう人もいるのだといいます。
つまり大切なのは、順序をつけないこと。順序でほめるのではなく、「これは◯◯さんだからできるんだね」「さすが◯◯さん!」というように、行動や成果をほめることが大切だというわけです。
*
店長をターゲットにしているとはいうものの、このように販売の仕事に携わっている多くの人が活用できる内容。売れる店をつくるために、店長もスタッフも、ともに読んでおきたい一冊だといえます。
(文/書評家・印南敦史)
【参考】
※丹羽英之(2015)『1万人が実践している 売れる店長の全技術』かんき出版