【ネットニュース編集者によるイニシャル鼎談】小保方晴子手記出版の本音

デイリーニュースオンライン

『あの日』に記された本音とは
『あの日』に記された本音とは

山本一郎×中川淳一郎×漆原直行のイニシャル鼎談vol.5

 年明けから大きな芸能ニュースが続き、ネットニュース業界の賑わいが加速している。そこで、ネットのトレンドを知り尽くしたブロガーの山本一郎氏、ネットニュース編集者の中川淳一郎氏、編集・ライターの漆原直行氏の3名にご登壇いただきトークイベントを開催。ニュースの舞台裏を語り尽くすその一部をレポートする。2本目の今回は、STAP細胞絡みで時の人なった小保方晴子氏の手記出版に関してだ。

【ネットニュース編集者によるイニシャル鼎談】SMAP解散報道の舞台裏

■行間から伝わる都合の悪さが話題に

中川淳一郎(以下、中川) 小保方さんの手記も話題になりましたね。

山本一郎(以下、山本) でたねー、おぼちゃんねー。本当ありがとうって感じですよ。なんかね、心が洗われる気分になりましたね。話題になった人の書く手記とか本って退屈なこと多いじゃないですか。『絶歌』とかね。でもこの、『あの日』に関しては、あぁ煙に巻きたいんだなぁってわかるんです。なんていうのかな? 突然科学者用語が乱立するとか。で、どう考えてもこのエピソード嘘だろとかね。横文字が増えたりとか、あのそのそれが増えたりとか。

漆原直行(以下、漆原) なんか言いくるめられちゃう感じが、若干あるんですよ。

山本 都合の悪い時に、早口になる人っているじゃないですか。あんな感じ。

漆原 まあそういうノリがすごくこの本からは見え隠れしますよ。行間から滲んできます。

山本 なんかね、多分ライターさんがまとめてるんじゃないかと思いつつも、このテンションの上がり方は、本人が相当ちゃんと言って、原稿にしてるんじゃないかっていう位によくできてる。

中川 確かにね、読んでみるとその煙に巻きっぷりがわかるんですよ。専門用語を使った記述なんかが、40ページ位続くんですよ。「ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は微量なDNAを増幅させ、その有無を明示することができる実験手法だが、RNAは直接PCRで増幅させることができない。RT-PCRは、RNAを鋳型にして、cDNA(complementary DNA:組補的DNA)を合成する逆転写(Reverse Transcription)と呼ばれる操作を行い…」とか、文系の人間にはチンプンカンの記述が続く。でも、それにより、「私は研究をちゃんとしていたし知識はある」のアピールになっている。

山本 言いたくないことが、絶対にそこにあんだろ、みたいな。

漆原 まぁだから、率直に伝える気がないんですよ。

山本 読者にちゃんと分かる言葉で伝えましょうってことを、放棄してますよね。放棄している具合を見て、あぁこの人なにか隠したいんだなと思うわけじゃないですか。

漆原 怪しいですよね。

山本 きっと、いきなり専門用語を並べてる箇所、そこが都合悪いんだろみたいな。なんとなく思うわけですよ。で、STAP細胞絡みでいうと、再実験の報告書なんかを見てると、まぁダメだけど、おぼちゃんは本を出したからOK。

漆原 OKなんだ? まぁ出すだろうと思ってましたけどね。

山本 ベッキーも出せばいいのに。

漆原 そうですね、これからは、みそぎを済ませるフローの一環として、最後にこういう告白本を出して欲しいですよ。おそらくベッキーのところにもオファーは来ているはず。多分ガンガン来てますよ。いまごろ。

山本 『わたしの横を通り過ぎていった男たち』とか、そういうノリですよね。

■出版物からネット展開の新たな道筋に!?

中川 小保方さん本の<はじめに>には感謝する対象がいくつも書かれています。その中でも小保方晴子さんの不正な報道を追求する有志の会ってブログがあって、ここのブログもぜひ読んでください。やっぱりSTAP細胞はあったとかですね。それをついに発見とか、そういうのをきちんと全面的に小保方さん擁護の論調でレポートしている。だからこそ、小保方さんは彼らに感謝している。

山本 めっちゃ感謝してる。ラップみたいに。Jラップですよ。

中川 「移動の際に身の安全を守ってくださった、KさんOさんHさん、本当にありがとうございました」とかまで書かれている。

漆原 「マジリスペクトー」みたいな感じ、うん。

中川 それで、この頑張れ小保方晴子先生、っていうブログとかですね、小保方晴子さんへの不正な報道を追求する有志の会とか。小保方晴子さんに声援を送ろうってね。

山本 んで、本当に感謝されちゃったんだ。

漆原 それはある種のサクセスじゃない。このブログやっててよかったぁって。

中川 で、オフ会やってんですよ彼ら。祝出版記念オフ会です。

漆原 そこに小保方さんはいないわけでしょ? 有志の会で集まって、おれたちサクセスみたいな。

山本 すげーな。サクセスだなー。

中川 このブログにはですね、色んなブロガーがここに一カ所に集中させて、自分のブログでも出して、ブロゴスみたいなもんなんですよ。

漆原 “小保方ブロゴス”みたいな仕組みを有志が自主的に作ったわけだ。そこに出版物が「こりゃエエわ」と乗っかって、主張をネットへ波及させて、発言の影響力をさらに強める、と。なんか、ウマいことやってますね。

vol.6に続く

(構成/デイリーニュースオンライン編集部)

【ネットニュース編集者によるイニシャル鼎談】SMAP解散報道の舞台裏

【ネットニュース編集者によるイニシャル鼎談】清原容疑者逮捕の舞台裏

プロフィール

やまもといちろうのジャーナル放談

ブロガー/個人投資家

やまもといちろう

慶應義塾大学卒業。会社経営の傍ら、作家、ブロガーとしても活躍。著書に『ネット右翼の矛盾 憂国が招く「亡国」』(宝島社新書)など多数

公式サイト/やまもといちろうBLOG(ブログ)

プロフィール

ライター/編集者

中川淳一郎

一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を担当。2001年に退社しフリーライターに。『テレビブロス』編集者、企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々な、ネットニュースサイトの編集者となる。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)など多数

プロフィール

ライター/編集者

漆原直行

1972年東京都生まれ。編集者・記者、ビジネス書ウォッチャー。大学在学中より若手サラリーマン向け週刊誌、情報誌などでライター業に従事。ビジネス誌やパソコン誌などの編集部を経て、現在はフリーランス。書籍の構成、ビジネスコミックのシナリオなども手がける。著書に『ビジネス書を読んでもデキる人にはなれない』『COMIX 家族でできる 7つの習慣』(シナリオ。伊原直司名義)など多数

次回告知/デイリーニュースオンラインPresents『山本一郎・中川淳一郎・漆原直行トークイベント』

【日時】3月3日(木)19時30分スタート(18時30分開場)
【場所】阿佐ヶ谷ロフトA
http://www.loft-prj.co.jp/schedule/lofta/42594

「【ネットニュース編集者によるイニシャル鼎談】小保方晴子手記出版の本音」のページです。デイリーニュースオンラインは、小保方晴子STAP細胞やまもといちろうイベントエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧