話題沸騰のアニメ映画『キンプリ』と”ロボットレストラン”の共通点 (2/3ページ)

デイリーニュースオンライン

■キンプリの3大要素分析

 まず「オーバーな演出」。これ自体は男児向けアニメ(特にコロコロ系)などでは珍しいものではありません。『グランダー武蔵』は釣りをするだけで破壊された自然環境が回復し、『カブトボーグ』はオモチャで遊んでるだけで世界が炎に包まれますね? 「オーバーな演出」はこれ自体で一つの異様さであり、単体でも相応の破壊力を備えています。キンプリではトリプルアクセルを決めることで、これが発生する点も不可解ですが、ともかく「オーバーな演出」単体であれば、まだ受容可能な範囲です。

 問題はそこに「アイドル」と「BL要素」が加わることです。特に冒頭のライブ描写に如実なのですが、いかにもなアイドル的演出とコロコロアニメ的な「オーバーな演出」が無理矢理に接続されて、それが「BL要素」へと結実するのです。BLに結実、というのは、「オーバーな演出」によりキメラ的に強化された「アイドル要素」(男性アイドルが女性客を魅了する)が、なぜか作中の男性客にも向けられて、男性客を魅了し、男性客を全裸にするのです。

 同性愛的倒錯要素はそれだけで視聴者の常識的地平を揺さぶり、足下をぐらつかせ、目眩を与える力を持っています。これらの複合要素により、われわれはキンプリを見て絶句しているのだと分析できます。つまり……

(1)「アイドル」的要素(男性アイドルが女性を魅了する)

 が、

(2)「オーバーな演出」を経て、キメラ的に強化

 されることで「本来アイドルが持つはずの魅力とは違う何か」へと変わり、それが……

(3)なぜか男性客を魅了(「BL要素」)

 しているわけです。

 本来のアイドル要素が(2)と(3)で二回倒錯することにより、われわれの理解を超絶しているのだと考察されます。

 ここでポイントは、一つ一つの要素自体はそれぞれの文脈、背景を持ってすれば理解可能なことで、しかし、キンプリの場合は、それぞれの文脈・背景さえもが混ざり合ってしまい、さらなるカオスが生じているのだと思います。アイドルの文脈、BLの文脈、コロコロの文脈……それぞれを同時に脳内で起動させながら、目の前の映像を適宜解釈していかねばならんのです。

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