話題沸騰のアニメ映画『キンプリ』と”ロボットレストラン”の共通点 (3/3ページ)

デイリーニュースオンライン

■歌舞伎町のカオスを体現するロボットレストラン

 せっかくカオスなものを見たので、続けてカオスなものをハシゴすべくロボットレストランへ向かいました。

 ロボットレストランは新宿歌舞伎町のカオスを体現するショウ施設であり、女の子やロボットがたくさん出てきて乱舞します。ごはんはあまり食べれません。日本の新しい観光名所として既に世界的に知られる存在となりました。

 ロボレスの魅力も言語化困難なものではありますが、こちらは二桁に及ぶ訪問回数と、その度ごとに行われた言語化の努力により、かなりの程度まで言語化に成功したと自負しております。今のところ一番ロボレスを言語化できたと思われる紹介文は、

「殷の紂王は本当はロボレスを作りたかったが、当時の技術力では無理だったので、池に酒を入れたり、木に肉を吊るすことしかできなかった」

 というものです。つまり酒池肉林の体現であり、地上の龍宮城です。

■五感に訴える快楽

 ロボレスの強みはショウの演出力や異様なるセンスもさることながら、「女の子がたくさん出てきて踊る」「ロボットがたくさん出てくる」「ノリノリの音楽が大音量で流れる」「レーザービームがギュンギュンする」などの五感に訴えかけてくるところです。

 つまり、「女の子」「ロボット」「大音量」「光」という「男の子が大好きなもの」「人間が否応なく興奮させられるもの」を詰め込んでいるのです。その結果、多幸感に溢れる空間が生まれ、われわれは酒池肉林を感じるのです。

 もっとも最近のロボレスは男性ダンサーが増えてきて、以前の酒池肉林感は大分薄れてきたのですが。「大人の男性が好きなものを詰め込んだ酒池肉林空間」から「ファミリーで楽しめる、よりアート的な空間」へと変化しているようです。……いや、ファミリーで楽しめるセンスかどうかは、上の写真を見て個々に判断して頂きたいのですが。

■まとめ

 キンプリにもロボレスにも一つの共通点があります。それは見終わった後に観客が多幸感を感じて、元気を得ておうちに帰っていることです。キンプリの場合は女性客たちからそのような声が聞こえてきました。

 ロボレスが「女の子」「ロボット」「音」「光」で大人の男性を魅了したように、キンプリは「アイドル」「BL要素」「オーバーな演出」で女性たちを魅了しているのでしょう。アイドルの文脈も好き……BLの文脈も好き……そんな女性たちが、オーバーな演出で無理矢理にテンションをアゲアゲにさせられる……。女性の好きなもの、人間が興奮するものがたくさん詰まった作品……女性のための酒池肉林空間。それがキンプリなのかもしれません。

著者プロフィール

作家

架神恭介

広島県出身。早稲田大学第一文学部卒業。『戦闘破壊学園ダンゲロス』で第3回講談社BOX新人賞を受賞し、小説家デビュー。漫画原作や動画制作、パンクロックなど多岐に活動。近著に『ダンゲロス1969』(Kindle)

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