【永田町炎上】議員定数削減が有権者に不利益なワケとは? (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

■国会議員の定数を減らせば、立法府の機能は低下する

 新聞の投稿欄などをみると、国民の多くは国会議員の定数削減に賛成のようだが、それが自分たちの首を絞めていることに気づかない。民主党や維新の党などはそんな国民の無知に乗じ、「身を切る改革」などと詭弁を弄し、衆院予算委員会で慣例を破り野田佳彦前総理や岡田克也代表などを質問者に仕立てて、安倍総理に執拗に定数削減を迫っているが、筆者には「国民受け」を狙った単なる「パフォーマンス」としか思えない。

 財務省は2月10日、国の借金の残高が2015年12月末現在、1044兆5904億円だったと発表した。2015年末の国内総生産(GDP)は約527兆だから、財政赤字はGDPの2倍にも及び、国会議員の数を減らしたところで焼け石に水。ほとんど税金の無駄遣いの解消につながらない。衆議院議長の諮問機関の答申でも「定数削減に積極的な理由や理論的根拠は見いだし難い」と指摘している。

 2月23日の『読売新聞』の社説が警鐘を鳴らすように、もし議員の質を担保せず、数だけ減らせば、それだけ選挙で多様な民意を吸い上げにくくなる。また「議院内閣制」の下では、内閣は国会─特に衆議院の信任の上に成立・存続を許されるが、「国権の最高機関」であるはずの国会は、政府に対する監視機能も確実に低下する。好むと好まざるにかかわらず、国民の代弁者は国会議員しかいないのだから「国会議員の数を減らせ」というのは、「自分たちの代弁者を減らせ」というのに等しく、国民にとっては「自分の首を絞める」ことにもなりかねない。

 しかも定数が少ないほど、格差是正は難しくなる。もし「身を切る改革」をするなら、定数削減などではなく、むしろ政党交付金制度を廃止すべきであろう。選挙制度は議会制民主主義の「土俵」を決めるものであるから、民主的基盤を持たず、「浮き世離れ」した、わずか15名の裁判官で構成する最高裁の「違憲状態」などという判決などに惑わされることなく、あくまで政治主導で決めるべきだ。

 いずれにせよ、選択の幅を狭める議員定数の削減には絶対反対だ。

朝倉秀雄(あさくらひでお)
ノンフィクション作家。元国会議員秘書。中央大学法学部卒業後、中央大学白門会司法会計研究所室員を経て国会議員政策秘書。衆参8名の国会議員を補佐し、資金管理団体の会計責任者として政治献金の管理にも携わる。現職を退いた現在も永田町との太いパイプを活かして、取材・執筆活動を行っている。著書に『国会議員とカネ』(宝島社)、『国会議員裏物語』『戦後総理の査定ファイル』『日本はアメリカとどう関わってきたか?』(以上、彩図社)など。最新刊『平成闇の権力 政財界事件簿』(イースト・プレス)が好評発売中
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