地方にとっては高すぎ! 東京は最低時給が900円以上ってほんと?
バイト探しで気になるのが「時給」。時給900円なんて募集広告を見かけることもありますが、地域や業種によっては違法になっちゃうのはご存じでしょうか?
最低賃金には「産業別」と「地域別」の2種類があり、正社員に限らずアルバイトやパートも対象。どちらか高額なほうが適用され、東京都では907円以上と定められているので、もし時給900円のバイトがあったら理由を聞くべきです。ただし、リゾート地でのバイトなどはその地域の最低賃金が適用されるので、事前に確認しておくのが良いでしょう。
■業種と地域で変わる「最低賃金」
給料やバイト代には「最低賃金」があり、都道府県毎の「地域別」、特定の業種が対象となる「産業別」の2種類があります。ベースは産業別で、現在の東京の例をあげると、
・塗料製造業 … 894円
・出版業 … 857円
・小売業 … 792円
などです。これは18歳以上~65歳未満が対象となるので高校生は除外、つまりこの金額未満になっても構いません。同時に、都道府県ごとの地域別も定められ、東京都の場合は907円が適用されます。
2つの賃金が異なる場合、どうなるのでしょうか? これはきわめてカンタンで、高額なほうが適用されるルール。同じく東京都の例では、
・産業別でもっとも高額な塗料製造業 < 地域別
となるため地域別が適用、東京都のバイトは最低907円/時、と表現できます。もしこれ未満だった場合、最低賃金法により雇い主には50万円以下の科せられますし、契約書に「時給900円」と書かれていてもまったく効力を持ちません。
ただし、最低賃金未満になっても構わない「特例」もあります。試用期間や軽易な業務が代表例です。バイトでも定番の試用期間は、その地域の労働局長の許可があれば、
・最長6ヶ月間
・減額は20%まで
が許されています。半年以上も試用期間が続いている、2割以上も減額されている場合はブラックな可能性・大なので、雇い主に確認してみると良いでしょう。
■地域によっては2割以上の差も
東京都以外ではどうなるのでしょうか? 休みを利用してリゾート地でバイト、農業など将来就きたい仕事を体験なんて話も耳にしますが、地域/業種によって最低賃金は雲泥の差。知らなかった! とならないよう、事前に確認しておくのが良さそうです。
地域別を比較すると、
・1位 … 東京都 … 907円
・2位 … 神奈川県 … 905円
・3位 … 大阪府 … 858円
に対し、沖縄/宮崎県は693円、青森/岩手/秋田県は並んで695円と、2割以上の差がありますので、住んでいる場所と同じ感覚でいると、なんでこんなに安いの? になりかねません。リゾート地のホテルやペンションに住み込みでバイトしてみよう、と思っているひとは、誤解が生じないよう事前に確認しておくのが良さそうです。
また、東京都の例では地域別が最高額でしたが、産業別のほうが高額になる地域も少なくありません。たとえば北海道の場合は地域別が764円なのに対し、
・製造業(乳製品など) … 813円
・鉄鋼業 … 876円
栃木県は、
・製造業(自動車など) … 840円
・製造業(電子部品など) … 836円
と、地域別の751円を上回ります。短期間でいっぱい稼ぎたいひとは、その地域が力を入れている業種が狙い目といえるでしょう。
街を離れ、違う場所で住み込みバイトをするのもおもしろそうですが、途中でヤメて帰って来るのは至難のワザですので、仕事内容や時給は念入りに確認しておいてください。
■まとめ
・最低賃金には「産業別」と「地域別」の2種類がある
・どちらか高額な方が「最低賃金」。アルバイトにも適用される
・試用期間は最長6ヶ月、20%までの減額が認められる
(関口 寿/ガリレオワークス)