「ジャニーさんに感謝」嵐・二宮和也の日本アカデミー賞スピーチが波紋
優秀な映画とそれに関わった映画人を称えて表彰する日本アカデミー賞の第39回授賞式が3月4日に行なわれ、嵐の二宮和也(32)が最優秀主演男優賞を受賞した。二宮は壇上で、SMAP解散報道で毎日のように名前が出ていたジャニーズ幹部であるジャニー喜多川氏、メリー喜多川氏、藤島ジュリー景子氏の名前を出す奇妙なスピーチを展開した。
■ジャニーズ勢が2年連続で最優秀主演男優賞
発表された瞬間、一般来場者も多く詰めかけた会場に歓声が沸き起こった。『母と暮らせば』で主演をつとめた二宮が、第89回キネマ旬報ベスト・テンでも主演男優賞に引き続き、日本アカデミーでも最優秀主演男優賞を初受賞した。
本作は、井上ひさしの同名戯曲をベースに、山田洋次監督が映画化したファンタジー作。幽霊になって吉永小百合演じる母・伸子の前に現れる息子・浩二を演じた二宮は、『起終点駅 ターミナル』の佐藤浩市や『日本のいちばん長い日』の役所広司らベテラン勢を押しのけての受賞となった。
ジャニーズ事務所としては、昨年『永遠の0』で同賞を獲得したV6の岡田准一に引き続き、2年連続の快挙を成し遂げることとなった。2006年の第30回に『武士の一分』で優秀賞に選出された木村拓哉を、「(優秀賞の)皆さんと最優秀賞を競わせたくない」という理由で賞から辞退させたが、近年は日本アカデミー賞に協力的な姿勢を見せている。
壇上のスピーチで二宮は目に涙を浮かべながら、岡田に「『次はお前だから』と言って頂きました」とハッパをかけられたことを述懐し、嵐のメンバーにも思いを馳せた。そしてテレビ放送ではバッサリとカットされたが、「ジャニーさん、メリーさん、ジュリーさん、今まで迷惑をかけてきた人たちにちょっとでも恩返しができたかな。すごくありがたく、頑張っていこうという風に思っています」などと述べたことが各社報道で明らかになっている。現場に居合わせた芸能関係者いわく、「二宮の受賞に歓声をあげた一般来場者の一部も沈鬱な表情で、会場に一瞬だけ微妙な空気が流れた」という。
名前の挙がったうちの一人、メリー氏は過去のインタビューでかつて、SMAPと嵐の共演が少ない理由について「だって(共演しようにも)SMAPは踊れないじゃないですか(週刊文春2016年1月28日号"「SMAPを連れて出て行きなさい」メリー副社長独白再録"より抜粋)」と発言し、暗に嵐のダンス力を評価している様子を見せた。また嵐自体は、巷でとくに藤島の一派などとウワサされている。それだけに二宮のスピーチは、ファンの間で「余りにも派閥関係が露骨過ぎ」という意見も少なくない。
ファン人気の高い二宮が、大幹部3名の名前を挙げて感謝を述べたことに、意味はあったのか。
「なぜ監督・スタッフではなく、ジャニーズ幹部の名前を出したのか。それもSMAP解散報道の戦犯にも数えられた3人です。タイミング的に名前を出して波風立てなくても良かったと思いますが、嵐の人気メンバーである二宮が謝辞を述べたことで、間接的に"私たちが育てたおかげでニノは活躍できているんだぞ"という世間へのアピールになりましたね」(芸能関係者)
育ての親に感謝を述べる。本来、これと言って何ら不思議のないことだが、はたしてSMAPの報道がなくても、幹部3人全員の名が二宮の口から出ていたのだろうか。そのあたりの疑問に、政治的なものを少し邪推せずにはいられない。
- 橘カイト(たちばな・かいと)
- 1979年島根県生まれ。編集プロダクションを経て、フリーに。実話誌や週刊誌などで芸能関係の記事を執筆。また、民俗学などにも精通し、日本のタブーにも数多く取材。主な著書に『真相!禁忌都市伝説』(ミリオン出版)ほか多数。