なぜ週刊文春だけがスクープ連発できるのか?|プチ鹿島コラム

デイリーニュースオンライン

Photo by Vive La Palestina
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 AERA 3月7日号の「なぜ文春だけがスクープできる」という記事が面白かった。ベッキー、甘利明前経産相、宮崎謙介前議員の不倫などスクープを連発して年明けから3号完売も記録という、週刊文春の新谷編集長に話を聞いていたのだ。

《スクープを取る方法を聞かれますが、答えはシンプル。まずはスクープを狙うことです。端緒になる情報をつかんだら、記者を深く潜らせ、証拠を固める。詰まったところで、精鋭部隊を投入し、一気に仕上げていく。》

《リスクを取って調査報道をやるメディアはずいぶん少なくなりました。手間・ヒマ・金がかかって訴訟リスクもある。でもそうやって及び腰になって、安心・安全で数字を持っていそうなものだけ手堅くやっていこうという世の中は、息が詰まる。》

 そういえば、「文春は磁石のような雑誌になっている」と表現したのは元文春編集長の花田紀凱氏だ(東スポ・2月8日付)。

 誰かが内部告発なり、特ダネを売ろうと思ったりしたとき、内部告発者が考えるのは「どこで発表したら、いちばん効果があるか、相手にダメージを与えることができるか」。それが今は文春だと。

 もちろん、ネタが飛び込んでくるだけでなく「何人かの記者を遊軍的に長期取材にあたらせることができる」と、花田氏も文春の強みを書いている。週刊文春そして週刊新潮もふくめ、今の時期の雑誌の強さについて印象的だったコラムが1月にあった。

 日刊スポーツの「政権は雑誌を侮ったかな」というコラム(1月26日・「政界地獄耳」)だ。この頃は、文春発の甘利スキャンダルの真っ最中。コラムには"自民党ベテラン議員"のこんな言葉が載っていた。

《テレビは官邸の圧力に屈してキャスターやコメンテーターを入れ替えて白旗を掲げた。新聞も編集幹部らが相変わらず首相との懇談にはせ参じて忠誠を尽くすことや、軽減税率導入などで厳しい原稿が書けない。雑誌がその間をぬって政権を揺るがす。少し政権は雑誌メディアを侮ったかな。》

 そうか。週刊誌があるのだ。下世話なパワーも含めた週刊誌が。週刊誌があるうちは、こちらの野次馬気分を満たしてくれる。全方位の情報をまんべんなく。ちょっと頼もしく感じながら、これからもゴシップ記事を楽しもうと思う。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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