足と靴専門の理学療法士に聞いた! 長時間歩いても足の小指が痛くならない方法

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革靴やパンプス、ミュールで長時間歩いたとき、足の小指が痛くなって「もう歩けない!」なんて叫びたくなったことはありませんか? 理学療法士で、足の治療と靴製作の馬喰快歩堂(ばくろかいほどう。東京都中央区)の三浦賢一所長に聞くと、「かかとの靴ずれなら傷テープを貼って応急処置もできますが、小指のケア法は意外と知られていません」というコメントが。そこで三浦さんに、その場でさっと自分でケアする方法、また予防法について聞いてみました。


■足の小指が痛むのは、靴の中で外側に足がすべっているから

通勤や通学でちょっとした移動のつもりが、所用で思いのほか歩くことになり、そんな日に限って履き慣れない靴だった、気付いたときには足の小指がズキンズキンしていた……。

「そんな小指の痛みは、靴と足との間にある根本的な問題です」と言う三浦さんは、次のように説明を続けます。

「まず、ご自分の左右の足を見比べてください。足の形にはオウトツがあって、対称な形をしていません。ところが靴はきれいに対称な形をしています。そもそも我々は多くの場合、足に合うはずがないものを履いて歩いているということを知ってください。既成の靴では仕方がないことなので、どちらか一方の足の一部が靴の中で圧迫されて痛くなるのは自然な現象とも言えます」

深く考えずに靴を履いていますが、靴と足とはそういう関係かもしれません。では、どうして小指ばかりが痛くなるのでしょうか。

「それは、靴の中で足が外側に滑ってしまうからです。一歩ごとに足の外側の指、つまり小指が靴と衝突しているわけです。その状態が続くと、足の小指が赤く炎症を起こします」(三浦さん)

なるほど、思い当ります。それは防ぎようのないことなのでしょうか。

「手立てはあります。もし、長時間歩くことが事前に分かっているなら、スポーツ用品店で売っている、競技者向けの皮ふの摩擦を抑えるため素足に塗るクリームを買ってください。事前に塗っておくと有効でしょう」と三浦さん。

足に塗るクリームとは、通勤時でも便利に使えそうです。さらに三浦さんは、女性のつま先事情について気になる指摘をします。

「特に女性に多い症状なのですが、つま先立ちがうまくできない人は足の小指を痛めやすい傾向にあります。足首が不安定で靴の中で足が動きやすく、パンプスを履くと靴ごと足がぐらつきやすくなるからです」

街でハイヒールを履いて足をぐきっとひねっている女性を見かけることがあります。

「そういう人は、日常生活の中で、例えば、歯磨きやキッチンで洗い物をしているとき、テレビを見ながらなどに、『つま先立ちになって5~10秒ほどキープする』ことを1日に10回ほど繰り返しましょう。すると、足の指で踏ん張る力、また、ふくらはぎや骨盤まわりの筋肉が鍛えられて足の動きが安定し、指を痛めにくくなります」と三浦さん。

さらに、足の小指の痛みの原因について意外な盲点も指摘します。

「見落としがちなのが、靴下やストッキングの縫い目です。つま先の縫い目が足の指の上にかぶさる状態で靴を履いていると、指がダメージを受けやすくなります。靴を履くときに、縫い目が足の指の下にくるように注意してください」(三浦さん)

靴下の縫い目とは……これもまた、気にしたことはありませんでした。

■靴底にソールを貼るか足先インソールで応急対処

では、足の小指が痛み出して今すぐ対処したいときはどうすればいいでしょうか。

「緊急で痛みを和らげたい場合は、無理をして歩かずに、靴のリペアショップに駆け込んで、靴底の前半部分にソールを貼り付けてもらってください。すると、靴の前半部分に厚みができ、履いたときに高さが出るので、靴の中で足が前のめりになるのを抑え、幾分か足がすれるのを緩和してくれます。

リペアショップがないときは、コンビニや100円ショップでも売っている、足先部分のインソールを使ってみてください。靴の中での滑りを多少、軽減できるでしょう。ただし、ソールを貼り付ける方法のほうが、靴の傾きを軽減するので根本的なケアになります」と三浦さん。

足の小指を痛めてしまった場合は、どうケアをすればいいでしょうか。

「指が赤く腫れて炎症を起こしているようなら、アイシングをしてください。野球のピッチャーが試合で投球後に、肩を冷却材でグルグル巻きにしていますが、あれと同じ理屈で、炎症に対しては冷やすことが一番です。氷をハンカチや薄いタオルなどで包み、5~10分ほど小指に当ててください」(三浦さん)

これまで新しい靴を履いたときは小指が痛むのが当前だと思うほど、毎回痛みが出ていました。靴の中で足が外側に滑っているとイメージし、靴下の縫い目に注意、靴のソールの修繕、痛みがあればアイシングということです。どの方法も、さっそく実践したいものです。

(小山田淳一郎/ユンブル)

取材協力・監修:三浦賢一氏。理学療法士。足のケアと靴の製作の馬喰快歩堂(ばくろかいほどう。東京都中央区)所長。NPO法人オーソティックスソサエティー理事。一般社団法人日本ソーシャルウォーク協会理事。
馬喰快歩堂:東京都中央区日本橋横山町5-18-1F
http://www.ashi-ikiiki.com/

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