人権団体の「AV女優強制出演」報告書に感じる矛盾と疑問の数々 (3/3ページ)
冗談もほどほどにした方がいい。
■AV業界の村ルールの厳しさ次に、このHRNの根本的な勘違いや調査不足について、先ほど述べた「業界のルール」という面から解説する。まず頭に叩き込んで欲しいのが、これはウソでも何でもなく、AV業界では「女優は神様、それ以外はゴミ」であるということ。
女優といえども雇われる身なので、金を出す立場の人間が一番強いのは事実だが、それでも好き勝手やっても許されるのは女優だけである。万が一、業界内の男性が世間のルールでも許されないようなバカな真似をしたら、あまり表立っては書けないような怖い目に遭うだろう。
しかし同じようなことを女優がやっても、最悪の場合でも飛んでチャラである。飛ぶとは、突然事務所と連絡が付かなくなるとか、現場に来ないとか、いわゆる行方をくらませておしまいということだ。中にはそうやって揉め事を起こして事務所を去ったはずなのに、名前を変えて、何だったら顔もちょっと変えて、のうのうと別の事務所に履歴書を持って行く女性までいる。
だがそれでも(そんな人間に仕事の依頼が来るかどうかは別として)業界は許す。わざわざ取り囲んで怒鳴り散らすなんて真似は女性に対してはしない。
もしHRNが言うような暴力的な言動で女性の自由を奪うプロダクションがあったとしたら、それはハナから業界のルールを守る気がない連中であり、決して主流ではない。外から見たら同じ業界に見えても、実際はまったく別の世界の出来事だからこそ、業界の人間でも被害実態がわからないのだ。
※ もしこの記事を読んでいる方の中にAV女優になってみたいと考えている女性がいたら、所属する事務所は絶対に下調べをしてから決めること。相手が本当に "AV業界" の人間かどうかわからないので、絶対にその場で契約書にサインしてはならない。また個人情報の類も教えないこと。もししつこく付き纏われるようなら、遠慮無く警察を呼ぶか、近くの通行人に助けを求めるべきだ。
AV業界には他の業界では通用しないような厳しい村ルールが存在している。だが、それが適用されるのは原則として男だけである。よって、もし仮にAV業界で酷い人権侵害を受けている人間がいるとしたら、それは若手の男性ADなど立場の弱い下っ端スタッフだろう。彼らが予算の都合でペラペラの安いサンドイッチをかじって空腹を凌いでいても、1食1,000円を超える仕出し弁当を用意してもらえるのが "女優さん" なのだ。もし仮に現場に弁当やツナギ(撮影の合間に摘む軽食・菓子・飲み物など)も満足に用意されておらず、女優が「扱いが悪い」と感じたとしたら、その現場のスタッフは確実にそれ以下の扱いを受けている。それがAV業界のヒエラルキーである。(続く)
Written by 荒井禎雄
Photo by Brett Jordan