スイーツを企業と共同開発! お茶の水女子大の食研究サークル「Ochas」って?

学生の窓口

お茶の水女子大学に「Ochas」というサークルがあるのをご存じでしょうか。このサークルは「食と健康を考える活動」を行っており、企業とお弁当やスイーツなどの共同開発もしているそうです。今回は、Ochasの活動内容などについて、代表の佐野七海さん(生活科学部食物栄養学科新3年)にお話を伺いました。

■複数のチームに分かれ、幅広い活動をしている

――いつから活動しているサークルですか?

佐野さん 2006年に当時3年生だった食物栄養学科1期生が「授業で学習したことを実践に移す場が欲しい!」と考え、このサークルを立ち上げました。大学で得た栄養学的知識や自分の得意分野を生かし「食の四次機能」を社会に発信。また、食と栄養に関する知識を普及させ、多くの人の健康増進に寄与することを目的として活動しています。

――食の四次機能とは?

佐野さん 食の三機能のうち、一次機能は栄養学的機能、二次機能はおいしさの機能、三次機能は生体調節機能だといわれています。そして食の四次機能はOchasが新たな概念として創り出したもので、「食べる幸せ」と言葉を分かりやすくして説明しています。これは一次機能から三次機能の成分的な視点では説明できない心理的効果の機能を考えたものです。食事や食事をする環境、その他の要因から感じられる喜びや楽しみ、癒やし、安心感など食を通じて得られるプラスの感情を指します。

――活動内容を詳しく教えてください。

佐野さん Ochasは現在7つのチームに分かれて活動しています。チーム共通の活動は「徽音祭」でのOchasカフェの出店とテント販売、夏に行われる文京区主催のハッピーベジタブルフェスタへの参加などで、定期的に全体会を開き、各チームの活動の共有や親睦を図っています。各チームの活動としましては、

●インターナショナルチーム

途上国の飢餓・貧困問題、自立支援、そして先進国の飽食(食糧自給率・廃棄率・肥満)の問題について考え、取り組んでいます。具体的には、お茶の水女子大学にある生協食堂マルシェの協力の下、「TABLE FOR TWO(TFT)」という活動をしています。これは学食でインターナショナルチームの考えたヘルシーなメニューを食べると、1食につき開発途上国の給食1食分に当たる20円が寄付されるというもの。また、ヘルシーメニュー考案・TFTの広報・他大学とのミーティングなども行っています。

●お茶づくりチーム

「人と人の間で文化を伝えるお茶を作る」ことを目的とし、鹿児島県の製茶会社『下堂薗』さんと一緒に「レシピ茶」を作り販売しています。お茶についての勉強としてイベントに参加したり、お茶の苗植え体験、お茶摘み体験、お茶の工場見学なども行っています。商品化したお茶は、入学式や卒業式・学祭、お茶の水女子大で行われるホームカミングデイで販売します。

●食プレチーム

食に関する知識とプレゼンテーション能力の向上を目的として、さまざまなテーマで発表をしているチームです。定期的に20分程度の発表を行います。テーマは栄養に関することや、食文化に関することなど多岐にわたります。各学期に1回は反省会を設けて、お互いの発表について話し合ったりもしています。

●スイーツチーム

野菜やヘルシーな食材を使ってひと工夫をしたスイーツを考案し、たくさんの人へ発信していくことを目指して活動しています。徽音祭での販売を最終目標に掲げ、ミーティングで試作を繰り返して改良を行ったり、Ochas内のイベントで完成したお菓子の発表をしたりしています。

●お土産チーム

徽音祭での販売を第一目標とし、「お茶大のお土産」をコンセプトに商品の開発を行います。2014年度にスイーツチームから独立しました。商品は、一からみんなで意見を出し合ってメニューの候補を出し、協力していただける学校周辺のお菓子屋さんと試作や打ち合わせを重ねて、作り上げていきます。ミーティングで、アイデア出しや試作品の持ち寄りをして改善点などを話し合います。

●ナーサリーチーム

子供やお菓子作りが大好きなメンバーが集まり、『お茶の水女子大学附属いずみナーサリー』でのボランティアを中心に活動するチーム。週に1度、いずみナーサリーのキッチンでその日のおやつを作るおやつボランティア、先生方のお手伝いや子供たちと遊んだりする保育ボランティア、テキストを用いて子供の食と栄養について学ぶ勉強会なども行っています。また、毎月ナーサリーの保護者の方々にお配りするおやつだよりを発行しています。

●ファームチーム

一次生産者の視点を持ち、より食べ物への理解を深めていこうという活動を行っています。大まかな活動としては、野菜を種・苗から育てて収穫し食べる、果実ジュース作り(ミカンやリンゴなどいろいろな果実を漬け込み、3-6カ月寝かせる)、農場・牧場見学の3つがあります。

――多岐にわたる活動をされているのですね。

佐野さん その他にも、チームを超えて有志でプロジェクトチームを作り活動しています。例えば、

●地域復興プロジェクト

県の地域復興プロジェクトと提携して恋叶ロードに合うドリンク、メニュー開発を行います。

●ONEプロジェクト

他大学の農業サークルとOchasのコラボレーション企画です。月に1度ミーティングを行い、毎年秋に開催される食と農林漁業の祭典、ジャパンハーヴェストに参加。自分たちが育てた作物を使い、今後コラボスイーツを作り、販売する予定です。

●ガールズランチ

都内の学園の高校生と考案したお弁当を年2回販売。寄付金付き。お弁当開発のためミーティング、試作を重ね、徽音祭でも販売します。

などのプロジェクトが現在進行中です。

――他にも、企業とのコラボレーションで商品の提案をされたこともあるそうですが。

佐野さん 現在販売されているのは、株式会社下堂園と共同開発した「レシピ茶シリーズ」と、文京区の洋菓子店OTOWA FUJIYA(株式会社不二家)と共同開発をした「2層の贅沢バウム~お茶の水仕立て~」です。これは、文京区が仲介役になってできた商品で、大塚・音羽地域のブランドを高めるものとして文京区地域ブランド創出支援事業に認定されています。

「レシピ茶シリーズ」
http://www.ocha-no-shimodozono.jp/contents/recipet...

「2層の贅沢バウム~お茶の水仕立て~」
http://www.ocha.ac.jp/news/h261027.html

■活動の中で体験することの大切さを学ぶ

――Ochasの活動の面白い、また魅力的だと思う点を教えてください。

佐野さん 「食」にまつわるさまざまな体験ができるところです。食の原点である農作業も、食材を調理することも、商品開発もできます。食育の授業を通じて、食に関する知識を伝えることもできますし、自分たちの商品をアピールしてお客さまに売る経験もできます。このように、食に対してさまざまな方向から接することができるところが面白いと思います。

――確かに幅広くチャレンジされていますね。

佐野さん また、食べることが好きなメンバーばかりなので、作ったもの、おいしいものをみんなで共有する時間も大好きです。大学公認サークルなので大学からの協力もあり、また人数も多く幅広い活動ができるので、みんなの「やりたい!」を実現しやすい環境もOchasの魅力だと感じています。

――佐野さんご自身は、Ochasの活動からどんなことを学びましたか?

佐野さん 1つ目に「体験することの大切さ」です。私は普段大学で食品や栄養について学んでいますが、その知識を実際の生活に応用したり、人に伝えることは自分で理解するのとはまた違った難しさがあるのだと実感しました。学んだことを社会に発信するとき、大事なのは「受け手が分かりやすいこと」だと思います。そのスキルをOchasの活動を通じて積み上げていきたいと考えています。

2つ目に、自分自身が食をよりいっそう大事にするようになりました。例えば、お茶摘み旅行や合宿で生産者の方の思いを聞くことで、食材が食卓に届くありがたみを実感しました。お茶の商品開発に携わることで、もっといろいろな方にゆっくりとお茶を飲む時間を持ってほしいと感じるようになりました。フェスタに出店して商品を売ることで、普段自分が買っている商品がたくさんの人の努力でできていることを知り「おいしかったよ」と言われるうれしさを実感しました。生きる上で欠かすことのできない食事、その一回一回を慈しんで、生活を豊かにしようという気持ちになりました。

――実際に経験しないと分からないこともありますし、体験することで多くのことを学べますね。

佐野さん そうなんです。そして3つ目は、大きな集団を見守り、動かすことの難しさです。今まで100人近い団体の長など経験したことがなかったので、日々奮闘中です。1年後には板についた代表になっているように頑張ります。

――サークルとしての今後の展望、またご自身個人での将来の展望があれば教えてください。

佐野さん 「食べる幸せ」を一人でも多くの人に届けられるように、これからも精力的に活動を続けることです。10年以上続く団体なので、勢いを保って先の世代までつなげていきたいです。個人的にはもっと勉強を重ねて知識を身に付けて、それを上手に伝える技術を磨くこと。将来は大好きな地元・静岡に戻り、食とその原点である農林漁業を支えられる人になりたいです。

――読者には大学生、高校生、そして中学生も多くいます。彼らにメッセージをお願いします。

佐野さん 私は昔から食べることが大好きでした。高校生のときにOchasを知り、このサークルに入りたいという憧れを原動力に大学を目指しました。今こうして大好きなサークルで活動できることが楽しくて仕方ないです。こんなふうに希望がいつか形になるときがあるかもしれないので、皆さんにも自分の中にある「大好き!」を大切にしてほしいと思います。そしてOchasに興味を持ってくださった方がいたら、ぜひ私たちと一緒に活動しましょう! お茶大でお待ちしています。

――ありがとうございました!

食に関する幅広い活動を行い、またその活動を通して多くのことを学べるサークルとのことでした。佐野さんと同じように、食べることが好きで、食に興味があるという中学生や高校生の皆さんは、進路の一つとして考えてみるのもいいですね。

OchasのHP
http://ochaschaco.wix.com/ochas

(中田ボンベ@dcp)

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