PVはもう古い!メディアの新指標は「記事の読了率と閲覧時間」

Suzie(スージー)

PVはもう古い!メディアの新指標は「記事の読了率と閲覧時間」

SNSやキュレーションサイトで紹介されている人気の記事をタップする……。

いまではすっかり見慣れた光景になりました。でも、こんな疑問を持ったことはないでしょうか?

「どうしてこの記事が人気なのかわからない!」

タイトルだけ見れば自分の興味があるテーマなのに、内容はスカスカ。最後まで読んだのに得るものがなく、時間を無駄にしたなんて経験をした方も少なくないでしょう。

なぜ、こんなことが頻繁に起こってしまうのでしょうか?

原因はメディアが利用している指標にあります。サイトがある記事を「人気記事」として紹介する際に、最も重要視されているのはPV(閲覧数)。

しかしPVとは、単にディスプレイに記事が表示された回数を表す数字でしかありません。PVだけ見ても、記事の質はわからないのです。

そのため「釣りタイトル」のような、PVは稼げるけれど内容は薄い記事が人気記事として紹介され、読者をがっかりさせてしまうのです。

こういう経験をした方がメディアを離れてしまうことを考えると、これはメディアに関わる人間にとっても見過ごせない問題です。

「この問題を解決できる新たな指標がある」

そう話すのは、多くのメディアに新たな指標を提供しているpopIn株式会社の向井雄一さん。

向井さんが提唱する「PVを超えた新たな指標」とはなんなのでしょう? 早速お話を伺ってきました。

■メディアの新指標「読了率と閲読時間」

最初に書いたとおり、PVでは記事の質をはかることができません。そこで導入されたのが「読了率」と「閲読時間」という指標。

読了率は、メディアの本文がどれだけユーザーに読まれたかを表す指標です。この数値が高いほど、記事は最初から最後までしっかり読まれていることになります。

閲読時間は、ユーザーがどれだけの時間記事を読んでいるかを表す指標。記事がどれだけじっくりと読まれているか、読み飛ばされていないかがわかります。

人が一分間に読むことのできる平均文字数、1秒10文字を基準として算出しているのだとか。

では、これらの数値をどう活用すればいいのでしょうか?

■2つの指標を見れば良い記事が分かる!

冒頭で例に挙げた釣りタイトルのメディアは、見た目のインパクトだけで多くのPVを生み出してきました。しかし、こうした記事の読了率はとても低くなるそうです。

「釣りタイトルの記事は中身が薄く、読者は読み飛ばします。そのためサイトのファンを生み出すことができず、どんどん人が離れていってしまうんです」

そのため、一時期は大量にあった釣りタイトルもいまでは減少傾向にあるとのこと。ユーザーを煽るだけの記事は、PVのためにサイトの寿命を縮めてしまう劇薬なのでしょう。

では、良質な記事とはどのような記事なのでしょうか?

「基本的に、読了率が高くなると閲読時間は減少します。逆もまた然りです。でも、いいメディアは閲読時間が高くなっても読了率は落ちません」

たとえばニュースサイトは記事が短いので、読了率は高いが閲読時間が短くなります。これは極端な例ですが、多くのメディアでこの関係が成り立ちます。

しかし、情報が詰まった記事は読み飛ばされることがなくじっくり最後まで読まれるので、読了率と閲読時間の両方が高くなるそうです。

では、どうしたら質の高い記事を生み出すことができるのでしょうか? そのヒントを向井さんが提供してくれました。

■そのメディアが伝えたいことは何なのか

いちばん大切なのは単に読了率や閲読時間を改善することではなく、どんな情報を、誰に、どのようにして伝えるかということです。

「2つの指標をどう利用して、目標に向かって舵を取るのがWeb編集者の仕事ではないでしょうか?」

単に数字を伸ばすのではなく、メディアとして伝えたいことを多くの方に発信するためのツールとしてさまざまな指標は存在しています。ただPVを伸ばすためだけの記事は、メディアの本質とはズレているんです。

「読了率」と「閲読時間」。2つの指標を使って自分たちのメディアを分析し、ライターと協力していいメディアを作っていくことが大切なんです。

まずは「なにを伝えるか」。これでメディアのおもしろさは決まります。

アクセス解析ツールでPVが高い記事を見ると、つい「これは大勢の人に読まれた」と満足してしまいがち。

しかし、それだけで判断するのはもう時代遅れ。

その記事がよかったのはタイトルだけで、実際は読者の期待を裏切っていた、ということもあるわけです。

そんなことを繰り返していては、どんどんメディアの価値は低くなってしまいます。

これからはPVだけでなく、「最後まで読まれる記事かどうか」「メディアとして伝えたいことがちゃんと伝わっているかどうか」ということを考えていきたいですね。

(文/堀江くらは)

【取材協力】

※向井雄一・・・popIn株式会社 取締役COO。国内200を超えるニュース・コラムメディアに独自のレコメンデーション・エンジンを提供し、メディアのサイト内回遊の向上とネイティブ広告によるマネタイズを支援。

ネイティブフォーマットのアドサーバーや「読了率」といった指標を通して、メディアが主体となったネイティブ広告の拡販/ユーザーエンゲージメントの向上を支援しつつ、コンテンツ発見プラットフォーム『popIn Discovery』の拡大に従事。

【参考】

READ-popIn株式会社

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