【相撲協会・理事長選】貴乃花を巡りマスコミまでドロドロの報道合戦|プチ鹿島コラム

デイリーニュースオンライン

「一生懸命: 相撲が教えてくれたこと」より
「一生懸命: 相撲が教えてくれたこと」より

『「貴乃花を応援したら殺す」 理事長選控え脅迫電話』(日刊スポーツ・3月12日)

 ギョッとする見出しだ。いったい何があったのか!? 今回の読み比べは「もうひとつの大相撲春場所」についてのオヤジジャーナル報道合戦をお届けしたい。

 日本相撲協会は春場所後に理事長選を控えていた。焦点は「八角理事長(元横綱北勝海)VS貴乃花親方(元横綱)」。これがかなりのドロドロだったのだ。両陣営が必死だったのか、報道もキレイにわかれたのである。貴乃花寄りだったのが週刊新潮。

『八角理事長に告ぐ。相撲協会の私物化を止めよ』という宗像紀夫外部理事の告発記事を載せた(3月10日発売号)。北の湖理事長亡き後の昨年12月18日の理事会で八角親方は正式に理事長に就任したのだが、宗像氏はこれを「出来レース」と表現したのである。そのあとの八角理事長の協会運営も「私物化」「コンプライアンスないがしろ」と批判している。

 これに対し、貴乃花親方らに対して一貫して厳しい書き方をしてきたのが日刊ゲンダイだ。一例を紹介すると『コンプライアンスやガバナンスに反しているのは自分たちだろう 貴乃花一派の悪巧み』(3月14日発行)。

 この記事では、ある親方の「貴乃花のバックにいるのが宗像理事とパチンコ業者から裏金をもらった(元)顧問です。」という証言を載せている。実はこの「元顧問」がオヤジジャーナルではかねてからの噂の人物なのだ。週刊朝日(3月12日発売号)は特集「貴乃花 知られざる素顔」で貴乃花の人脈について言及しているのだが、元顧問K氏はこう書かれている。

《14年1月、「協会公認パチンコ」をめぐるパチンコ業者との契約交渉の中で、K氏が業者側から計1700万円の裏ガネを受け取っていたと「週刊ポスト」が報道。インターネット上には、500万円の現金をK氏がホテルの一室で仲介者から受け取る場面を撮影した動画も流出した。》

 そのK氏は北の湖亡き後、今度は貴乃花に接近してきた。理事長を狙う貴乃花はK氏と手を結んだ。『貴乃花親方 受け継いでいるのは北の湖の遺志より負の遺産』というのが日刊ゲンダイの見方なのである。週刊朝日も『毀誉褒貶の激しいK氏と貴乃花親方が「急接近」したのは最近』と書いている。

 このように報道の内容をみると週刊新潮が貴乃花側、日刊ゲンダイは貴乃花批判、週刊朝日は貴乃花を懐疑的にみている。報道合戦の様子も非常に興味深い。そう考えると「貴乃花を応援したら殺すという脅迫電話」という記事も理事長選のドロドロの様子がわかるし、この情報が出て得する人損する人を想像するとさらに味わい深い。

 さて、そんな生々しい注目を浴びて迎えた3月28日の理事長選。春場所千秋楽の翌日におこなわれた。ギリギリまで二転三転する可能性もあると伝えられたが、結果は「6対2」の投票結果であっさり八角理事長が貴乃花に勝利し再選。

「運命の大一番は、すでにがっぷり四つの展開となっているのだ。」(週刊朝日)の煽りにドキドキしていた野次馬としては、白鵬の変化であっさり終わった春場所千秋楽よりも「さらにあっさり終わった感」なのでした

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

「【相撲協会・理事長選】貴乃花を巡りマスコミまでドロドロの報道合戦|プチ鹿島コラム」のページです。デイリーニュースオンラインは、貴乃花プチ鹿島相撲連載などの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧