皆神先生に聞いた! 「重力波の観測」ってどのくらいすごいこと!? (2/3ページ)

学生の窓口

その予測の一つが「重力波というものがあるかも?」だったのです。

――なるほど。重力波とは何なのでしょうか?

皆神さん 大きな質量のものが加速度運動をすると周りの時空にゆがみが生じてそれが波となって伝わっていきます。これが重力波です。

――どのようなものをイメージすればいいでしょうか?

皆神さん そうですね……。例えば、寒天で満たされたプールがあって、その真ん中にボウリングの玉があると想像してみてください。ボウリングの玉は、ブラックホールなどの「加速度運動をしている質量の大きな何か」のイメージです。
ボウリングの玉を揺らすとその揺れは寒天を伝わってプルプルと周囲に広がっていきますね。この揺れが重力波のイメージです。重力波は「時空」を揺らしながら「光の速さ」でどこまでも伝わります。

■「重力波の直接観測」は非常に困難! 今回の観測は機器の精度が勝因!

――重力波はどこまでも伝わるのですか?

皆神さん 無限に遠方まで伝わります。ただし、重力波はすごく弱いものなのです。ですからその観測は非常に困難です。

――確かに、「重力波の観測は事実上不可能」なんていわれたこともあるようですね。

皆神さん 今回重力波の観測に成功した「LIGO(ライゴ)」は一辺が4kmもあるL字形をした観測施設です。中が真空のL字形のパイプのようになっていて、L字の二つの端には鏡が設置されています。L字の真ん中に分光器があって、ここにレーザーを照射して、L字の端に置かれた鏡に向かって光を飛ばします。光は鏡に反射して二方向から戻ってきます。
重力波は時空をゆがめますので、光の進み具合に影響します。つまり、普通なら同時に光が戻ってくるはずなのですが、光の到着に差があると光の干渉縞がずれるので重力波の影響が出たと分かる、という仕組みです。重力波が届いたのを光の進行のずれによって検出するわけです。

――一辺4kmというのは巨大ですね。

「皆神先生に聞いた! 「重力波の観測」ってどのくらいすごいこと!?」のページです。デイリーニュースオンラインは、重力波理系研究ノーベル賞カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る