皆神先生に聞いた! 「重力波の観測」ってどのくらいすごいこと!? (3/3ページ)
皆神さん それぐらい大きくないと検出できないのです。しかも、それで検出するのが、長さ4kmに対して陽子1000分の1個以下のゆがみです。非常に小さなゆがみで、何か別の原因でも起こりそうですから、ノイズを打ち消して確かに重力波だと検証するのが大変だと思います。実際、今回の発表まで「検証に数カ月」をかけたそうですが……。
――そうすると、今回の成果は観測機器の精度の成果といってもいいのでしょうか。
皆神さん そういう面が大きいです。欧州宇宙機関の「LISA」、日本の「KAGRA(カグラ)」も重力波を検出しようという計画ですが、その観測機器には非常に高い精度が求められると思います。
■今回の成果はノーベル賞確実!? アインシュタインの理論から100年!
――今回の「重力波の観測」について、ノーベル賞確実! なんて話もありますがどうなのでしょうか?
皆神さん 実は、重力波の検証についてはすでに1993年にジョセフ・テイラーとラッセル・ハルスという二人の科学者にノーベル賞が出ています。
――えっ! そうなんですか?
皆神さん ただ、あくまで連星系パルサーが失っていると思われるエネルギーを、一般相対論に従って計算をした重力波が運び去ったとされるエネルギーと等しい、ということを示したという「間接的」な証明でした。
今回は、重力波そのものを捉えているので、観測されたのが本当に重力波なら間違いなくノーベル賞でしょう。
――ありがとうございました。
アインシュタインが『一般相対性理論の基礎』という論文を発表したのが1916年のこと。理論から100年たって実際に重力波の存在が観測によって確認されたというわけです。これは盛り上がらざるを得ませんね。2016年のノーベル賞の発表が待たれます。
※……アルベルト・アインシュタインは1914年に『一般相対性理論および重力論の草案』、1915年に『水星の近日点の移動に対する一般相対性理論による説明』という論文を発表しています
(高橋モータース@dcp)