​物々交換でヨーロッパを冒険! 『Red Bull Can You Make It?』に出場する山形大生に話を聞いてみた

学生の窓口



みなさんは、『Red Bull Can You Make It?』というイベントを知っていますか? 『Red Bull Can You Make It? 』は、世界中から集まった495人の学生が同時にスタートし、ヨーロッパ諸国に設置されたチェックポイントを通過しながらゴールへ向かう、8日間のエキサイティングなトラベルアドベンチャーです。イベント中に必要となる宿泊、食事、移動などにお金を使う事は禁止。全てレッドブル・エナジードリンクと物々交換する事で道を切り開いて行かなければなりません。つまり持ち運べるのは最低限の持ち物とレッドブルのみ! レッドブル・エナジードリンクを通貨として、ヨーロッパ中をどこまで冒険する事ができるのか……というイベントです。

日本からは122チームのエントリーがあり、その中から3チームが選定されました。今回は、その中の1チームである山形大学の『Happies』のみなさんにお話を伺いました。

■エナジードリンクだけで旅をする無茶さが魅力

今回お話を伺ったのは、山形大学の工学部物質化学工学科4年・會田祥貴さん、理学部数理科学科3年・高橋幹佳さん、工学部応用生命システム工学科4年・柴田英徳さんです。

――まず、どういった経緯でこの3人が集まったのでしょうか?

會田さん Facebookで『Tabippo』という団体がこのイベントを紹介してるのを見て、「この無謀な旅をやってみたい!!!」と思いシェアをしたところ、海外好きのメンバーの二人がそれにリアクションしてくれました。

高橋さん シェアされたものを見て、柴田君と自分が同じタイミングくらいで反応したのが始まりです。もともと3人とも旅は好きだったので、自然と流れでこのメンバーになった気がします。

會田さん 正直、「日本代表なんて無理じゃね?」と思っていたし、こんなクレイジーなことに付き合ってくれる人いないと思ってたところ、二人から「マジでやろう!!」と言われたのでこのチームを結成しました。

柴田さん 山形大学でクレイジーな旅好き3人がそろったと思いますね。

――きっかけは會田さんがシェアしたことだったのですね。ただ、そもそもなぜ出ようと思ったのでしょうか?

會田さん 普段、テスト勉強の際や眠いときに飲むレッドブルを使って「ヨーロッパを旅する」なんて考えたこともなくて、そんなクレイジーなこと、学生のときにしかできないし、もしやり遂げられたらこれからどんなことにも自信がつくんじゃないかなと思いました。

高橋さん 自分と柴田君は神田外語大学の英語プレゼンテーションコンテストに出場し、ひと段落していた時期でした。そのコンテストで自分たちは地方と首都圏の格差をとても感じて(環境や情報、挑戦しようとする人たちの母数等)、それで何かでリベンジしたいと強く思っていました。他の学生と競い合える機会というのも、自分にとっては大きなポイントでした。
柴田さん この企画自体に、非常にワクワクするものを感じたのもあります。

――このイベントの一番の魅力はどんなところでしょうか?

會田さん 「レッドブルを通貨にして、ヨーロッパを旅する」というクレイジーさに心引かれました。普段からよく海外には行くのですが、それでも採用されたら旅費負担してもらって海外にも行けるし、大きな挑戦もできるし、自分にとっていいことしかないと思いましたね。それに、大学生活よりももっと大きな、「人生の良い思い出」になると思いました。

高橋さん 先ほども述べたように、他の学生と競えることです。国の代表を懸けて日本で競った後に、次は世界中の学生たちとも競う……規模がとても大きいところが魅力です。

柴田さん 今の時代において、お金・クレジットカード・スマートフォンが使えず、またレッドブルだけで旅をしろという、これは世界中・日本中のほとんどの人が経験できないことです。そこに引かれました。

――参加しようと決めた際、周りの反応はどうでしたか?

會田さん 「そんなの無理でしょ」「誰がレッドブルと交換するんだよ」というネガティブな反応がある一方で、「何それ! めちゃめちゃ楽しそう!」「できたら、一生の思い出だね」など意見は二極化しました。ただ、親からはテロについての心配をされました。

高橋さん 海外に行くのが好きな人たちはとても応援してくれましたが、中には「えっ……」という感じの驚かれる反応もありました。

柴田さん 素直に応援してくれ、われわれのチャレンジに協力してくれました。

――応援してくれた人たちのためにも、精いっぱい楽しみたいところですね。

■今回の活動で感じた仲間の大切さ

――日本代表を決める国内大会が先んじて行われましたね。これは投票を募るものだったそうですが、皆さんは投票してもらうためにどんなことをしましたか?

會田さん とにかくいろんなことをしました。ただ、投票期間に幹佳(高橋さん)が内閣府主催のプログラムで海外に行っていたので、実質ヒデ(柴田さん)と二人だけでの活動でした。これが正直、つらかったです。投票期間には、日本人の友達だけじゃなくて、海外の友達にも頼み込み、またSNSでそのことを投稿してくれるようにお願いもしましたね。投票期間の後半は1対1でメッセージを送ってお願いすることも多かったです。それが本当に大変でした。

柴田さん 他にも投票をお願いするチラシを作成したり、お店や大学構内への掲載、また仙台駅において街頭で投票の呼び掛けを行ったりしました。ラジオ番組に出演する機会を得て、宣伝させていただいたこともありました。

高橋さん よしきさん(會田さん)が言っているように、投票期間は内閣府が主催する「世界青年の船」というプログラムに参加し、1カ月半海外に行っていました。ですので、二人に任せる形になってしまい、本当に申し訳なかったと思っています。
しかし、シンガポールに給油のため寄港する日があり、そこではWi-Fiが使えると思ったので、自分がやれることはその日を狙って投票を呼び掛けることだと考えていました。11カ国の海外青年120人、日本青年120人の前で、このイベントのプレゼンと自分たちへの投票のお願いをステージでやりました。そこではたくさんの人が応援してくれ、SNS等で拡散などもしてくれました。

――難しいことも多かったと思いますが、振り返ってみて、特にどんなことが困難でしたか?

會田さん やはり、票を集めることに苦労しました。首都圏と地方では大学の規模だけじゃなくて、その地域の人口の分母が違うため、街頭で宣伝をしたときにこの差を痛感しました。しかし、それを理由に負けるわけにはいかないという思いで地道に個人個人にメッセージを送りすごく苦労しました。

高橋さん このイベントの説明をして、投票してもらうまでの流れを海外の青年に教えることがとても苦労しました。数をこなすとある程度の慣れは出てきますが、やはりネットが使えない環境で多くの人に周知させるのは難しかった点です。

柴田さん われわれのチームは、このイベントにおいて数少ない地方大学のチームでしたので、首都圏の大学生に比べると非常に知り合いの数が少ない状況でした。しかし、東北の方々に支えられて日本代表になることができたと思います。それによって、都会では味わえない「地方」の強さを身に染みて感じました。

――反対に、日本代表になるまでの取り組みの中で、どんな点が面白いと感じ、またどんなことを学びましたか?

會田さん 周りには、いつでも自分のことのようにサポートしてくれる仲間がいることに気付けました。友人や先輩、後輩などたくさんの方たちに応援していただいて、周りの人たちの優しさが身に染みました。そして、動画の作成から結果の発表までの間に、メンバーの仲がより深まった気がします。意見の食い違いで言い争いになったこともありましたが、それもよりメンバーとの仲を深めたと思います。また、協力してくれた周りの人たちともよりいっそう、絆が深まった気がします。

高橋さん 投票のみで代表が決まり、面接や試験などがない分、自分たちの力だけでは絶対に勝ち抜けないものだなと思いました。自分たちはたくさんの人たちに支えてもらっているというのを実感できるシステムだと思います。世界青年の船に乗っている日本青年の人たちは比較的イベントのことを知っている人が多く、応援してくれました。自分のことのようになって助けてくれる友達もいて、人とのつながりの大事さを学べたと思います。

柴田さん 投票期間を通して、さまざまな場所に宣伝に伺うことで、多くの方と出会い、つながることができました。このイベントに参加していなかったら会うことがなかったかもしれないと考えると、非常に面白いなと感じました。

■応援している人もワクワクできる10日間を!

――みなさんの今後の展望、また将来の夢などを教えてください。

會田さん 現在は大学で「有機薄膜太陽電池」について勉強しています。正直、将来のことは具体的に考えてませんが、まずは大学院に進学することを考えてます。将来は、海外でも働くチャンスをつかめればいいなと考えてます。また、新学期が始まるのでこのような経験をする自分が、1年生に対して何か伝えられたらいいなと思っています。

高橋さん 大学3年生のうちにやりたいこととして、外国人観光客に対してのガイドボランティアと高校生への教育をマッチングさせたNPO法人を山形の大学生だけで立ち上げたいなと思っています。今の段階ではいろんな業種の方々に話を聞き、アドバイスをもらっているのと、立ち上げメンバーを厳選しているところです。このイベントのおかげで出会えた人たちもいるので、そういったつながりをイベントが終わってからも継続させて、たくさんの知識やスキルを吸収したいです。
また将来は、自分自身数学が専門なので、高校の教員になろうと思っています。最終的には地元山形にインターナショナルスクールを建てたいと思っているので、その準備のために今年の夏はインターン等にもチャレンジしたいです。

柴田さん 2016年はインドにIT留学をし、将来的にはIT×観光で起業し山形を国内外に誇るブランドにするとともに、山形が大好きな人を増やして山形をより良く、そして日本をより良くしていきたいです!

――読者には大学生の他に大学入学前の高校生、中学生も多くいます。彼らにメッセージをお願いします。

會田さん 高校生の中には、特に「あの名門校に進学したい!」「首都圏の大学なら、設備も環境もいいから行くなら関東の大学!」と憧れている人もいると思います。しかし、山形大学のように地方大学だったり、名門校といわれる大学じゃなくても、世界を舞台に戦えます!! それをこの大会を通して、証明します! そして、大学ではやりたいことや夢中になれることを早く見つけた人が充実した大学生活を送れます。大学というサポーターを味方に、やってみたいことにはどんどん挑戦することが大切ですよ。

高橋さん 実際、自分も名前の知れた有名大学や偏差値の高い首都圏の大学ばかりを目指していました。でも大学に入って分かったことは、どの大学に入るかではなく、自分が大学で「何をやりたいか」です。今、国やたくさんの企業が大学という枠組みを超えて挑戦できる「ワクワクするようなイベント」を学生たちに提供しています。情熱があれば、どんなことにだってチャレンジできると信じてください。普段の勉強や受験勉強などもとても大事です。でも、自分の好きなもの、情熱を傾けられるものを探求することを怠らないようにすることも大事。この志があれば、きっと素晴らしい大学生活が待っているはずです。

柴田さん 自分が興味を持ったことには、挑戦してみる! 一歩踏み出して、多くの人と話して、考えて、悩んで行動すれば、自分がやりたいと思えることは見えてくる! 人生は楽しく生きてなんぼ!

――最後に、目前に迫ったイベントにかける意気込みをお願いします。

會田さん 「とにかく楽しんでゴール!!」と言いたいところですが、投票してくれた友人や先輩・後輩、その他にもたくさんの方に迷惑を掛けて投票・拡散をお願いしたので、その人たちにもワクワクを共有できる旅をしてきたいと思います。そして、世界でも輝くSTARSになります!

高橋さん 自分たち地方大学の学生が、こんな大きなイベントに参加できることはとても貴重なことだと思っています。幸せな瞬間を精いっぱいかみしめ、応援してくれた人たちに恩返しができるように自分たちの楽しんでいる姿をアップロードしたいです。そして、山形、東北代表として世界の頂点を取りにいきます!

柴田さん 日本だけでなく世界中にいる友達、東北の方々への感謝を忘れずに全力で楽しみ、みなさんにワクワクを与えたい! 地方の若者も都会の若者に負けずに頑張っているところを見せて、みんなに自分の気持ちに正直に挑戦する素晴らしさを伝えたいです!

――ありがとうございます! 活躍を期待しています!

世界55チームが参加する、壮大かつかなりエキサイティングなチャレンジに挑む『Happies』の皆さん。本選開始は4月12日です。旅の模様は公式HPに日々アップされていきます。その旅の模様を見ながら、みなさんも足跡を追ってみてはいかがですか?
『Happies』の紹介ページ⇒https://www.redbullcanyoumakeit.com/ja/teams/543/
『Red Bull Can You Make It?』のHP⇒https://www.redbullcanyoumakeit.com/ja/
(中田ボンベ@dcp)

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