天才テリー伊藤対談「中田喜子」(3)「渡鬼」出演者は常にセリフを暗記 (1/2ページ)
テリー ハハハ、視聴者からすれば、文子も中田喜子も同じ人なんだよね。そりゃまあ、そうだけど。
中田 毎年、あの番組で節分の豆まきをやってるんです。第1シリーズがこれから始まるという時にやった時には、お客さんから「中田さーん!」って声がかかってたんですけど、第2シリーズ以降はもうシーンとしていましたから(笑)。本当にファンが離れていきましたね。
テリー 単発の2時間ドラマだったらまだいいけど、毎週流れるんだもんね。そりゃあ視聴者も刷り込みされちゃう。
中田 うちの姉が、私が出演する舞台を観に来てくれたことがあったんですね。終演後に姉が嫌~な顔で楽屋に入ってきたので「どうしたの?」って聞いたら、私が舞台に出てきたら、姉の隣のお客さんがもう芝居そっちのけで、「あの人はひどいのよ」って、ずっと「渡鬼」の話をしていたらしくて。最後まで私の悪口を聞かされたらしいです(笑)。
テリー それは災難でしたね。でも、それは役者冥利に尽きる話だよ。
中田 そうですね、テリーさんのおっしゃるとおりだと思いますね。
テリー 文子という虚構の人物を、本当に実在するかのように演じ切ったってことだからね。中田さんの演技が評価されてる証拠じゃないですか。
中田 いえいえ、私なんて「渡鬼」のメンバーの中では、本当に芝居が下手だと思います。橋田(壽賀子)先生のあの長ゼリフなんて、いつも苦労しましたから。
テリー 「渡鬼」といえば「長ゼリフ」っていうくらい有名ですけど、どのくらいあるんですか?
中田 普通のドラマで「今日は長いですね」っていう場合、台本の7ページか8ページぐらいなんですよ。
テリー それでも相当長いよね。