フレンチ薬膳ノススメ 坂井美穂 #3 国際薬膳調理師への道 (1/2ページ)
彼女がパリで暮らし始めた頃、日本では妹も独立して実家には母が一人で暮らし。父は早くに他界していた。たまに電話で話す母の咳が止まらないのを心配して「検査に行っておいで」と勧めたが、検査を受けても結果を話そうとしない母。なんだかいやな予感がする。
やがて母が入院することになったと聞いて、即座に航空券を買って日本へ向かった。
「飛行機のなかでは、自然に涙が流れて、止まりませんでした。朝方、成田に着いてそのまま実家へ向かい、すぐに母を入院させました。主治医に余命を訊ねると、10ヵ月ですと言われて、帰国を決心しました」
彼女は父を亡くしたときに、野菜ソムリエの資格を取っていた。薬の効果が出ないときに、食べ物で何かできないかと考え、野菜の効能に関心を持ったのだった。そして、母が入院すると、こんどは「病気になる前に何かできることはないのか」と思い、それが薬膳の勉強を始めるきっかけになった。
余命宣告から2年、母は病と闘い、そして旅立った。4人だった家族が妹と2人になったとき、「もう誰かに依存する時代は終わった。これからは、自分のことは自分で守らなければならない」と強く思った。
「両親が亡くなったのは悲しいんですけど、一方で、両親の血が体のなかに入っているから、何があっても大丈夫と思いました。そういう風に思わせてくれる両親に心から感謝しています」
1年の後に国際薬膳調理師の資格を取得。しかし何故フレンチなのか? それには父の職業が関係していた。
国際薬膳調理師、フレンチ薬膳プロデューサー。2006年より拠点を日本からパリに移し、モデルとしてパリコレクションなどのショーを中心に活動。現在はフレンチ薬膳プロデューサーとして、身体の内から溢れる美しさや健康を追求した様々なサービスを提案。料理教室やレストランとのコラボレーションイベント・数多くのレシピ提供・商品開発に携わる。テレビ出演等のメディア活動も精力的に展開中。国際薬膳調理師、野菜ソムリエ、パーソナルカラリストの資格を持つ。著書『かんたんフレンチ薬膳 体の内面から美しくなれるレシピ58』(主婦と生活社)。