悪質とされたボランティア団体と震災報道のゆくえ|やまもといちろうコラム (1/2ページ)

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悪質なボランティア団体としてネットで批判を受けていた「TSUNAGARI」とは……?(※画像はイメージです)
悪質なボランティア団体としてネットで批判を受けていた「TSUNAGARI」とは……?(※画像はイメージです)

 山本一郎(やまもといちろう)です。熊本の大地震は心を揺さぶられたものの、そっち方面はあまり詳しくないので触れないでいたところ、うっかりテレビ番組に出演したら熊本地震について喋らざるを得なくなり、当たり障りのない話しかできませんでした。我ながら、不甲斐なさを反省しています。

 そんな熊本の地震で、かねてから悪質なボランティア団体としてネットで批判を受けていた『一般社団法人TSUNAGARI』(以下、「つながり」)の件が話題になっていました。すでに現地での反響も含めBuzzfeedが取り上げていますが、ちょうど現地に入っていた複数のライターさん達も本件で取材をしていたようです。

批判殺到の「押しかけ」ボランティア問題 現場で当事者に話を聞いた

 結論から言うと、どうもこの「つながり」も、現地ではそれなりに役に立っているようで、ほか団体のボランティアスタッフ20名ほどと一緒になって現地の物資仕分けから道路を塞いでいる倒壊した建物の残骸を処理する作業に従事しているとのことでした。

 まあ、役に立っているならそれでいいんじゃないでしょうか。

 で、彼らがクラウドファンディングで集めたとされる900万円以上のお金については、すでに発表のとおり全額を御船町に寄付することで着地しているようです。本当にそうなるのかなと思って、クラウドファンディングを実施したReadyFor株式会社に聞いてみたところ、確かにそのような手続きとなっています。と回答がありました。

 4月22日になって、県社会福祉協議会が機能し始め、やや支援が後手に回っていた大分県方面の被害についても状況が分かるようになってきたため、問題の全容が見えてきたのかなあと思うわけなんですが、一方で、これらのSNSと被災地の問題も浮き彫りになり始めました。藤代裕之(43)さんが刻一刻と状況が変わる被災地現場と、時間差で問題が拡散していくSNSのあり方については、真正面からいろいろ論じられています。

ソーシャルメディアの拡散が「タイムラグ」を生み、被災地のニーズに合った支援を難しくしている

 つまり、ソーシャルで拡散するころには問題が解決している場合もあり、認知が広がったころに問題が周知されることでタイミングを失した誤報が広がってしまうことの是非もあるよねといった話です。

 何と言うか、ソーシャルで動員革命とか暢気に言えていたころが懐かしいレベルの話ですが、確かに古い話題が現在進行形でSNSにて語られることも多く、誤報が広がっても当事者による訂正がなかなか届かない現状は問題かもしれません。

 結果として、ネットニュースの「速報性」さえも、むしろそのロングテールゆえに解決済みの情報更新というか上書きをしなければならないことに無関心となりえます。いつまでも古いネタがぐるぐるとSNSで回ることになるのでしょう。

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