習近平の過激な言論弾圧?中国で報道されない”パナマ文書” (2/2ページ)

デイリーニュースオンライン

 中国国内では今回の習首席の呼びかけは「百花斉放」の再来ではないかと噂されています。百花斉放とは毛沢東政権下で行われた政治運動で、当時の中国国民たちに政府に対する意見を求めたものです。この運動は当初国内の民主化運動とみなされ、多くの人々が政府に対し忌憚なき意見を訴えたのですが、その後政府に対し批判的な意見を述べたり、資本主義を肯定した人物は政府により「右派分子」と断定され次々と弾圧されました。つまり百花斉放とは、民主化運動とは相反する「反乱分子のあぶり出し」だったのです。

 そのため現代の中国のネット上には「今回の習主席の発言は釣りだ」、「反政府主義者や対立派閥のブラックリストを作ろうとしている」、「習主席は毛沢東の手法を真似ている。百花斉放の次はもしかして?(文化大革命)」などといった意見が書き込まれています。

 今回の公開書簡の弾圧をきっかけに、中国国内では書簡の内容に賛同する知識人、十数万人のフォロワーを持つ人権派弁護士たちのSNS上のアカウントが次々と凍結されたそうです。最近では、16年5月2日に北京市生協委員の任志強氏が中共政府にとって都合のいい情報ばかりを報道するメディアを批判したところ、自身の微博(中国版twitter)のアカウントが凍結され、党の規律に反したという理由で「観察」(政治職務から外される)という処分を課せられました。

 このように、中国社会では治安維持を名目に民主主義の萌芽が次々と摘み取られています。僕は習近平主席こそがかつて中国全土を独裁体制で支配した「毛沢東の再来」だと思います。習主席が自らの権力維持のために「第2の文化大革命」を引き起こし、無数の文化と人々を犠牲にする。僕はそのような時代が到来する可能性はあると思います。

著者プロフィール

漫画家

孫向文

中華人民共和国浙江省杭州出身、漢族の31歳。20代半ばで中国の漫画賞を受賞し、プロ漫画家に。その傍ら、独学で日本語を学び、日本の某漫画誌の新人賞も受賞する。近著に『中国のもっとヤバい正体』(大洋図書)など。

(構成/亀谷哲弘)

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