「金正恩バンザイ」のスローガンが消え去る日…中朝国境最新レポート (2/2ページ)

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街では「お上は高性能の新型電波遮断機を導入したのだろう」との噂が立ち、庶民たちの不満は募る一方だった。

実際、大会初日には、行政機関に対する放火テロ事件も発生している。

しかし、なぜスローガンが撤去されたのだろうか。情報筋は、「党大会の内容が期待外れだったから」と述べる。

ポスターをトイレットペーパー代わりに

「期待していた『改革・開放』などの新路線が提示されなかったせいで、多くの人ががっかりして不満をもっている。一歩間違えれば、党大会関連の宣伝物に不満をぶつけて、破壊事件が起きかねない。そうなると、最も責任を問われるのは当局自身だ。そうしたことを未然にふせぐため、さっさと撤去したのだろう」(両江道の情報筋)

いまや、北朝鮮名物ともいえるスローガンや政治ポスター、いわゆる「プロパガンダポスター」は、金正恩党委員長の偶像化を目的としている。つまり、「神聖」なもので、大切に扱わなければならない。というのは、実は建前で、ポスターの破損などは頻繁に起きており、当局もそれほど神経をつかわない。貧しい人々のなかには、剥がれ落ちたポスターを持ち帰り、トイレットペーパーに使うほど、本来の用をなさない。いや、こういう場合は、有効活用されているというべきか…。

いずれによせ、プロパガンダポスターやスローガンが「速度戦」で撤去された背景には、北朝鮮社会の変化がある。当局でさえも、長年続けてきたプロパガンダが、いかに厄介で、無駄であるかということを知っている。もちろん、庶民たちはいうまでもない。

金正恩氏は、こうした北朝鮮社会の変化に薄々気づいているからこそ、自らの権威を守るために「暴走」をやめられないのかもしれない。

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