秋津壽男“どっち?”の健康学「“モノが覚えられない”は認知症と関連なし。不要な情報は「断捨離」でリフレッシュせよ」 (1/2ページ)

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秋津壽男“どっち?”の健康学「“モノが覚えられない”は認知症と関連なし。不要な情報は「断捨離」でリフレッシュせよ」

 皆さんは老いを感じる瞬間はどんな時でしょうか? 例えば、これまでスタスタと上がっていた階段で息切れした時や、尿のキレが悪くなった時など、体の衰えや異変から年齢を意識する人は多いでしょう。

 その一方で「昨日のランチは何食べたっけなあ」とモノ忘れがキッカケの人も少なくありません。さらに言えば、「取引先と名刺交換したけど先方の名前が全然覚えられない」と覚えの悪さを自覚する人もいます。

 いずれも脳の衰えから年齢を実感するケースですが、ここで質問です。「モノ忘れ」と「モノ覚え」の悪さのどちらが、認知症の兆候と考えることができるでしょうか?

 まず、モノ覚えについてお話ししましょう。一般的に加齢とともに記憶力が落ちると考えられがちですが、最近の研究では「脳の能力は衰えない」という事実がわかってきています。モノ覚えの悪さは記憶力の低下ではなく、興味や必要性を瞬時に判断していると言われています。

 つまり、脳の前頭葉にある海馬という部位が「これ使わない情報だから必要なし」と、情報を取捨選択しているのです。

 しかも、現代は情報社会です。現代人が1日に受け取る情報量は飛躍的に増加しており、もはや脳の記憶力をはるかに上回る情報量を浴びながら生活しています。

 そうなると、必然的に脳は大半の情報について「これ以上は覚えきれない」と情報をシャットアウトしてしまいます。つまり我々の脳は常にオーバーキャパの状態で、よほど意識的に覚えようとしなければ記憶に定着させることはできません。

 そうした情報化社会で、はたして交換した名刺の名前まで覚える必要があるのでしょうか。政治家ならまだしも、普通の人は全部覚える必要などありません。

 受験勉強や各種資格を取る際に、モノ覚えが悪いとトレーニングの必要がありますが、状況や情報に応じて取捨選択するのが不可欠な戦略です。

 例えば、アイドル好きの若い人が運転免許を取るとしましょう。交通ルールを覚えることは不可欠ですが、AKB48の推しメンに関する情報は、一度シャットアウトすればいいだけのこと。

「秋津壽男“どっち?”の健康学「“モノが覚えられない”は認知症と関連なし。不要な情報は「断捨離」でリフレッシュせよ」」のページです。デイリーニュースオンラインは、週刊アサヒ芸能 2016年 6/2号“どっち?”の健康学秋津壽男認知症脳梗塞カルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
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