ヤジや怒号は飛んだか?舛添都知事の”所信表明”傍聴ルポ|プチ鹿島コラム

デイリーニュースオンライン

「東京都/知事の部屋」より
「東京都/知事の部屋」より

 今週の注目の現場といえば6月1日に開会した東京都議会だった(六月定例会)。政治資金の私的流用疑惑などが批判されている舛添要一都知事が所信表明に臨むからだ。

 私も番組レポ(「荒川強啓デイ・キャッチ!」TBSラジオ)で都議会の傍聴に初めて行ってきた。本会議は13時からで、傍聴券は1時間前から配布。先着順なので果たして入れるのか? 午前10時。都議会議事堂2階の受付前は思いのほか人が少ない。

 実は都議会の傍聴ってあんまり満員にならないらしい。猪瀬前都知事がカバンに5000万入る、入らないで実演して面白かったあのときも満員ではなかったという。しかし、本日は時間が迫るにつれて列が混んできた。60~70代らしき方々が多い。40代の私がかなり若手。平日のこの時間に来れるのは年配層になるのだろう。こういう行列によくみられる、スマホを持って時間をつぶしている人がいない。

 私の隣りの列で談笑していた男性2人がいたので話を聞いてみた。行列きっかけで会話がはじまったという。そのうちの1人(70代・好きなプロ野球選手は別当薫)に尋ねてみた。「都知事選があるとしたら次はどんな人がいいですか」と。

 すると「有名人や芸能人はもういい。五輪選手がいい」。コケそうになったが都知事選の知名度優先ぶりが垣間見えた。

 さて、傍聴券はすべて配布され186席満席となった。舛添氏、傍聴人気は猪瀬超えだ。

 初めて議場に入ると想像していたより狭かった。後方の傍聴席も、東京ドームのバックネット裏のような角度で見えやすい。議員席の配置もしっかりわかる。しかも静寂。

 何が言いたいかというと、これだけ見えやすくて静かな空間でもし「ヤジを飛ばしたら」絶対に誰だかわかるはずなのである。マスコミ席なんて一番前だからわからないわけがない。そう考えると2年前の都議会ヤジ事件で「1人しかわからなかった」のはなぜなのだろう。

 舛添要一知事は所信表明の最初と最後に「都民と都議会の皆様に多大なる迷惑を掛けていることを心からおわびしたい」と謝罪した。最初と最後に謝罪というのがポイントだ。冒頭ではシーンとしていた議員たちが、最後の部分(つまり演説の終わり)になって初めてざわついたからだ。

 この場面について「ヤジや怒号が飛び交う」という報道もあったけど、私の印象ではそれは大げさな表現だ。「とりあえず最後だけヤジっておこうか」という儀礼的でふわっとしたものに感じた。ちなみに自民・公明の席は終始沈黙していた。後方の傍聴席からだと非常にわかりやすい。

 初日の所信表明だから様子見なのか、それとも儀礼的にヤジるだけでこのまま最終日まで終わるのか。ヤジで注目された都議会だからこそ、7日から始まる代表質問・一般質問ではヤジに本気度があるかどうかも重要なみどころである。そこからわかるものもあるはずだ。

著者プロフィール

putikashima

お笑い芸人(オフィス北野所属)

プチ鹿島

時事ネタと見立てを得意とするお笑い芸人。「東京ポッド許可局」、「荒川強啓ディ・キャッチ!」(ともにTBSラジオ)、「キックス」(YBSラジオ)、「午後まり」(NHKラジオ第一)出演中。近著に「教養としてのプロレス」(双葉新書)など多数。

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