サブカル対オタクについて:ロマン優光連載59 (2/4ページ)

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このグループ以外にも同学年でアニメファンとか、今で言うオタク趣味の人たちもいましたけど、その人たちは、見た目がちゃんとしてたり、成績が良かったり、スポーツが得意だったり、言動が常識的だったりするので別口扱いで身分が低いとかはなかったですね。
 現代の感覚でいえばいかにもなキモヲタ・グループですが、私たちは自分たちを「おたく」だなんて思っていませんでした。私たちが「おたく」という言葉をつかう場合、明らかに気持ち悪い性的なところ剥き出しの二次コン、ロリコンだったり、コミュニケーションがとれないくらい異常な人物だったり、「マニア界隈(今でいうオタク)に生息する異常者」を指す言葉として使用してました。マニア界隈以外の人は「おたく」なんて言葉なんて知らないので、バカにされてはいても、自分たちがおたくよばわりされることもありませんでした。宮﨑勤事件が起こるまでは。私たち、(及び、別口と見なされていた彼らも)、私たちが忌み嫌っていた「おたく」という異常者をさす称号で呼ばれることになってしまったのです。本当に不快でしかなく、自分たちは「おたく」ではないという主張を繰り返したものの、世間に勝てるはずもなく、ネガティブなイメージだった「おたく」という言葉に捉え直そうというマニア内の動きもあって、自分が「おたく」であるという名乗りを便宜上しぶしぶ受け入れるようになるのは後の話となります。サブカルチャーという言葉はありましたが、「サブカル」という言葉はまだありません。
 こうやって、自分の学生時代を振り返ると、私の学校の私の学年では、一つの界隈でサブカル趣味の人とオタク趣味の人が普通に共存してたのがわかります。争いがなかったわけではありません。アウシタンとローディスト、アニメと特撮などという、喧嘩というかバカにしあいはよくありました。まあ、こんなのは同じ種族の中での内ゲバで、別種族が対立していたという感じじゃ全然なかったですね。私も、自分はサブカルチャー趣味のマニア(おたく)という自己認識しかなかったのです。

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