幸福度の標準偏差が1位!ブータンの人々が日本人より幸せな理由
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高い国民幸福量GNHで知られるブータンですが、実はブータンの土着言語には「幸せ」にあたる言葉がないそうです。幸せがなければ、不幸せもないということでしょうか。
国連による幸福度の標準偏差(ばらつき)ランキングでは、ブータンは1位に位置しています。幸せの格差がより少ないということの表れですね。ちなみに、日本は50位でした。
上野の森美術館で7月18日まで開催されている展覧会『ブータン~しあわせに生きるためのヒント~』には、「見るだけでしあわせになれるかも」というキャッチコピーがついています。
辻信一さん、田中優子さん、鶴田真由さんなど、多くの文化人が魅せられてきたブータン。
そこには、いったいなにがあるのでしょうか? ひとつ、幸福度を上げるためにブータン展に行ってきました。
■ブータン展の伝統織物が素晴らしい!
祭事に使用されるお面、色鮮やかな民族衣装や装身具、仏画、仏像などの宗教美術、また、今回特別に出展となった現国王・王妃の衣装を含むロイヤルコレクションなど、見どころはいくつもあります。
なかでも、緻密でありながら温かみのある伝統織物の数々に目を奪われました。
1日1センチしか織れないものもあるそうで、その豊かな手仕事の様子は、館内のモニター画面で確認することができます。
ブータンは、国として伝統織物の保護と発展につとめているそうです。職人になるための技術を学ぶ費用は国が負担してくれるとか。
そういった国からの後ろ盾が、織物職人(多くは女性)の誇りを育てるのだと想像できました。それはそのまま、着る人にも受け継がれていくのでしょう。
何着も新品の洋服を買える幸せとは、まったく異なる幸せなのかもしれません。
■形のないものがブータンの人々の幸せ
ブータンの人々の日常に、空気のように自然に存在するもの、それは祈りの習慣です。ブータンのどの家庭にも祭壇があります。
日本人も、特に宗教心がなくとも、神社があればお参りしますが、お賽銭を投げて祈る内容は、個人的なことがほとんどですよね。
ブータンの人々が祈るのは、個人よりも家族のため、もっといえば、家族よりもすべての人のためなのだといいます。
館内で流れている映像のなかで、人々へのインタビューが見られます。
「あなたにとって、セムガェな(心地よい)ときとは?」という質問に対し、返ってくる答えは、「親友と会うとき」、「祈っているとき」、「娘と一緒にいるとき」などなど、どれも形のない事柄ばかりです。
「織物を織っているとき、女性としての喜びを感じる」と答えた女性もいました。
ところでブータンにはお墓や位牌がないそうです。これは、ブータンの人々が輪廻転生を信じているからだそう。
こうした話を聞くと、「高いお金を出してお墓を買う私たち日本人って、いったい……」と思いたくなってしまいます。
■読むと心が温まるブータン言葉の数々
最後に、展示会場に散りばめられたブータンからの珠玉の言葉の数々をご紹介しましょう。
「あなたがいい心を持っているなら将来の心配はいりません。みんなが助けてくれるでしょう」
「しあわせとは、自分の持っているものを喜ぶことです」
「今、あなたに見えている世界はあなた自身を表しています」
「山に向かって役立たずと言えば、役立たずとこだまが返る」
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キャッチコピーの「見るだけでしあわせになれるかも」は本当でした。
と同時に思ったのは、私たち日本人は幸せに条件をつけることに慣れてしまい、ブータンの人々のように無条件の幸せを感じることを忘れているのかもしれないということでした。
「この会社に入らなければ」、「子どもを産まないと」幸せになれないと思い込むことで、ますます幸せを遠ざけることになるのではないでしょうか。
ブータン展の会期は7月18日までです。幸せになるヒントを手に入れたい方は、ぜひ足を運んでみてください。
(文/石渡紀美)
【参考】