金正恩氏に「忠誠」を誓う在日組織の本当の問題点 (1/2ページ)

デイリーNKジャパン

金正恩氏に「忠誠」を誓う在日組織の本当の問題点

21日付の産経新聞(電子版)によれば、在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)が最近、「金正恩元帥様に無限の栄光を抱かせるため、朝鮮総連の反対勢力に総攻撃・総決死戦を繰り広げ勝利を勝ち取ろう」との方針を傘下団体に示しているという。

ノンポリ化で公安も当惑

5月上旬の朝鮮労働党第7回大会に代表を送ったのを機に、朝鮮総連が何らかの新たな活動を始めたようだというのは、筆者もすでに指摘していることだ。

ただ、朝鮮総連について何の予備知識もない大多数の日本人が産経の記事を読んだらどう感じるか、一抹の不安を感じずにいられない部分もある。

朝鮮総連はおそらく、産経の書いた通り「総攻撃・総決死戦」という言葉を用いて、内部の引き締めを図っているのだろう。字面だけ見れば、まるで武装テロ集団のスローガンみたいだ。しかし実際のところ、朝鮮総連はすでに、そのような戦闘的な集団ではなくなっている。過激な文言は、組織に勢いのあった1960~70年代からの惰性で使っているだけだろう。

少なくとも私は、本気で「総決死戦」に臨めるような総連関係者とは1人もあったことはない。そのことは、公安の朝鮮総連に対する監視活動の中でも明らかになっている。朝鮮総連の若年層がノンポリ化してしまったために、冷戦時代に作られた公安警察のマニュアルが、役に立たなくなっているのが実態なのだ。

政界人脈づくりも

私は、朝鮮総連に問題がないとは思っていない。むしろその逆だ(詳細後述)。それを隠していないから、朝鮮総連から大いに嫌われていることも自覚している。

それでも、朝鮮総連の古臭い言葉尻をとらえて、大げさに報道する産経新聞の姿勢には違和感がある。

同紙は5月5日、「正恩第1書記に忠誠を誓う朝鮮総連傘下の青年団体『在日本朝鮮青年同盟(朝青)』に(朝鮮大学校の)卒業生を強制的に就職させていた」と報じているが、これも同様だ。朝鮮総連の運営する朝鮮大学校の学生たちの大多数は、就職先の選択を組織に預けることを前提に進学しているのであって、「強制的に就職」などということにニュースの価値などないのだ。産経の記者だって、本当はそれぐらいことは分かっているはずだ。

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