「俳句や短歌は旅と相性がいい」 “辺境を旅する男”が旅先で読みたくなる本 (3/4ページ)
すべては個人の責任ですから、年貢を納めるといっても村全体が責任を取ることはありません。
――高野さん自身は、その村からみれば「よそ者」ですよね。そういう人は異分子として警戒されることも多いのではないですか?
高野:それはあると思いますが、そもそも民族の区分は20世紀に征服者たちが造り出した部分が大きくて、現地の人たちの間は入り混じっていることも多かったりするんです。
例えば、シャン族とカチン族の違いも曖昧で、里に下りてくればシャン族になって、山に戻ればカチン族になるというような人もいます。上下関係もかなりゆるくて、その場所が嫌になったらどこかへ行ってしまいます。移動性が高いんですよ。
――どこかへ行ってしまうんですか(笑)。
高野:行ってしまうんです。日本人は嫌になってもどこかに行ってしまうことって少ないでしょ。日本の会社員を見ていると、嫌ならどっか行っちゃえばいいのにって思うんだけどね(笑)。アジアの人たちは勝手というか、もっと自由にやっていますよ。
■旅先で読みたくなるのは「短歌」と「俳句」
――以前出版された『辺境中毒』の中で、「旅に持って行きたい本を聞かれると、こっちが教えてほしいと思う」と吐露されていましたが、実際に本を持って行くときはどのような選び方をするのですか?
高野: 長時間移動になりがちなので、ミステリ小説は持って行きますよね。あとはその時に興味を持っている本とか。
――旅先で本を買うことはないんですか?
高野:買わない、というよりは、僕が行くところは本が売ってないんですよ(笑)。今は電子書籍があるから、Amazon Kindleを持っていきます。その場で買って読むこともありますが、日本で事前に買ってダウンロードしていくことが多いかな。
――高野さんが考える「旅に合う本」ってどんな本でしょうか。
高野:旅先で読むのが好きな本というのがあって、俳句や短歌について書かれた本はそうですね。日本では読まないけれど、旅と相性がいいと思うんですよ。
『おくのほそ道』は松尾芭蕉が東北をめぐりながら作った俳句が載っているけれど、やっぱり「旅」なんですよね。