「俳句や短歌は旅と相性がいい」 “辺境を旅する男”が旅先で読みたくなる本 (4/4ページ)
どこかに行って、一句詠む。そういうスタンスが合っているのかもしれません。
短歌は、恋愛の歌が多いせいからなのか、青春を思い起こさせます。旅と青春は相性がいいんですよ。だからそのフレッシュな感覚が似ているように思いますね。日本ではまったく読まないけれど(笑)。あとは、日本語をいかに有効に使って表現するかということに心を砕いているから、すごく日本を感じられてほっとするんですよ。
――では最後に、高野さんがこれまでに影響を受けた本を3冊ご紹介いただけますか?
高野:影響を受けたかどうかは分からないけれど、好きな本を3冊あげますね。まずは金子光晴の『どくろ杯』はすごく好きです。あと2冊は、ガブリエル・ガルシア=マルケスの一連の本から『百年の孤独』と短編集の『エレンディラ』を選びます。一つの理想の作品だと思います。
(了)
■取材後記
私が初めて読んだ高野さんの著作が『アヘン王国潜入記』だったのですが、あまりの内容の凄さに驚き、周囲の人たちにお勧めしたのを覚えています。
この『謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉』も、飽くなき納豆への探究心に驚かされる一方で、日本の食べ物だと思っていた納豆がアジアの辺境地域で愛され、日常的に食べられているという事実に不思議な感覚を抱きました。
インタビュー中、納豆の面白さについて語る高野さんに影響を受けて、その日家に帰る途中で納豆を買い、食べたことは言うまでもありません。
(インタビュー・記事/金井元貴、写真/山田洋介)
■高野秀行さんプロフィール
ノンフィクション作家。1966(昭和41)年、東京都八王子市生まれ。早稲田大学第一文学部仏文科卒。1989(平成元)年、同大探検部の活動を記した『幻獣ムベンべを追え』でデビュー。「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをやり、それをおもしろおかしく書く」をモットーとする。2006年『ワセダ三畳青春記』で第1回酒飲み書店員大賞を受賞。2013年『謎の独立国家ソマリランド そして海賊国家プントランドと戦国南部ソマリア』で第35回講談社ノンフィクション賞、第3回梅棹忠夫・山と探検文学賞を受賞。その他の著書に『アヘン王国潜入記』『西南シルクロードは密林に消える』『イスラム飲酒紀行』『未来国家ブータン』『移民の宴』『恋するソマリア』などがある。(新潮社ウェブサイトより引用)