北朝鮮の「中間管理職」を悩ます銃殺の恐怖と脱北の誘惑 (2/2ページ)

デイリーNKジャパン

工場に電力が供給されなかったことが招いた不祥事の責任を取らされるという、あまりにも無慈悲で理不尽な処刑理由だった。それでも、金正恩党委員長は、処刑する直前の動画を公開。金正恩式恐怖政治の怖さをイヤと言うほど国民に見せつけた。

ある工場の中間幹部は、とりあえず仕事をしているふりをしようと考え、残った従業員に工場の敷地にある畑で農作業をさせることにしたが、2日もあれば終わってしまう。他にも何か仕事はないかと考えているが、何もない。

労働新聞や朝鮮中央テレビは、全国各地から増産のニュースを伝えているが、見たところで参考にならず、イライラがつのるばかりだ。こんな状況から抜けだそうにも、退職する自由すら与えられていない。精神的に追い詰められ、「もはや脱北しかない」と思う中間幹部が増えているのだ。

一方、こうした北朝鮮を早々に見限る人たちがいる。現実的な思考を持ちはじめた女性たちだ。北朝鮮の女性たちは、男性本位の社会で、著しい不利益を被っている。さらに、成果第一主義で、経済的にも苦しい思いばかりをさせられることに辟易としている。そこで、リスクはあれど、新天地を求めて脱北という道を選ぶのだ。

金正恩式恐怖政治と「ウリ(我々)式社会主義」に縛られた男性陣が、脱北を選んだ女性たちをうらやましがっていても決しておかしくはないのだ。

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