一度に2つも同時に始めちゃダメ!習慣化のための「3つの原則」
『マンガでわかる「続ける」習慣』(古川武士著、みつく作画)は、2010年の発売以来ロングセラーを続ける『30日で人生を変える「続ける」習慣』のコミック版。
あることをきっかけに「フランス語が話せるようにならないとクビだ!」と難題を突きつけられた新人パティシエールを主人公に設定し、「続けるための」コツをわかりやすく説いた内容です。
ちなみに著者は、「習慣化コンサルタント」として500人以上の習慣化をコンサルティングしてきた習慣化のオーソリティ。そんな実績を持っているからこそ、続かないのは「性格や根性ではなく、習慣化のコツや原則を知らないこと」が原因だと断言しています。
だとすれば、習慣化についてもう少し詳しく知っておく必要がありそうです。
著者によれば、習慣化には3つの「挫折の波」があるのだそうです。つまり、それを理解しておけば、挫折しないように対策することができ、習慣化のプロセスもイメージできるというわけです。
それはどのような波なのか、ひとつひとつを確認してみましょう。
■習慣化「3つの挫折の波」
[ステップ1]反発期:やめたくなる時期(1~7日目)
三日坊主という言葉がありますが、いちばん続けるのが難しい、やめたくなる時期は7日目までなのだといいます。
習慣引力(「いつもどおり」を維持しようとする、いわば習慣化を阻害する力)の抵抗がもっとも強く、あたかも大雨洪水警報が発令されている暴風雨のなかを歩くような状態。性格や根性とは関係なく、誰もが挫折しやすい時期といえるのだそうです。
[ステップ2]不安定期:振り回される時期(8~21日目)
急な残業やプライベートの予定などに振り回されて挫折しやすい時期。
予定どおりに行動が進まず、「もういいや」「やっぱりムリ」と思ってサボりがちな時期だといいます。
[ステップ3]倦怠期:飽きてくる時期(22~30日目)
マンネリ化を感じやすい時期。徐々に続けることへの意味を感じなくなったり、物足りなくなったりして、「意味ないかも」「つまらないなあ」「飽きてきた」という言い訳が出てきやすい時期だそうです。
■習慣化のための3つの原則
続かない人の傾向を見ていると、習慣化のスタート前の計画と姿勢に原因があることがほとんど。著者はそういいます。
そして三日坊主に陥らないためにも、次の3つの原則を守ることが大切。
[原則1]:一度に1つだけ取り組む
一度に2つ、3つ同時にはじめることは、習慣引力が2重、3重にかかることを意味しているとか。いってみれば、重力が2倍、3倍かかっているなかで走るようなものだということです。
だからこそ、たとえばダイエットなら、食事制限を習慣化できるようになってから、その次に運動に取り組む。それが成功の秘訣。
[原則2]:複雑なルールにしない
ひとつの習慣について複雑な行動ルールを決めてしまうと、続かなくなってしまいがち。いろいろ詰め込むのではなく、「なにをやればもっとも効果的なのか」を考え、シンプルな行動に絞り込むことが大切だというわけです。
[原則3]:結果よりも行動を重視する
3つ目の挫折する原因は、結果にこだわりすぎて行動リズムを崩してしまうケース。
たとえばフランス語のテストに向け、短期目標を設定して一気に加速するとしましょう。しかしその場合、どうしても結果主義になってしまい、目標を達成できたら、その後は学習を継続する意欲を失ってしまうそうなのです。
ここで著者が強調しているのは、目標達成と習慣化は違うということ。
目標達成の場合は短期的なゴールを設定し、成果を得るために一気に行動することになるでしょう。しかし習慣化は、結果よりプロセスに集中すべきもの。
いつもどおりの行動を無意識に繰り返せるようになることが習慣化であり、その行動の積み重ねによって成果が出るということです。
■慣れるまでは毎日続ける!
先に触れた習慣引力の抵抗を受けている間は、一定の行動を続けることにこだわるべきだといいます。焦らなくても、習慣化できれば結果は返ってくるもの。焦らずに待つことが大切だということです。
なお1ヶ月(30日)の行動習慣は、習慣化するまでの期間に関しては、毎日続けることが大前提なのだといいます。
「週3回のペースでできるようになりたい」ということであっても、最初は毎日続けることが重要だということ。
これには明確な理由があります。やったりやらなかったりというペースだと、どうしても習慣化のリズムが定着せず、忘れてしまいがちだというのです。
ただし、1ヶ月で習慣化したあとは、週3回、4回と本来の頻度に落としても大丈夫だそうです。
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マンガはもちろんのこと著者の解説文もわかりやすいので、「続けたい」人に最適。無理なく自然に習慣化を身につけることができるでしょう。
(文/作家、書評家・印南敦史)
【参考】