生物+ロボットで誕生した人造クリーチャー、光に反応する筋細胞で動き回るエイ型ロボット(米研究) (1/4ページ)
ケビン・キット・パーカー教授の願いは人間の心臓を造り出すこと。彼の娘の願いはボストンにあるニューイングランド水族館に行くこと。この父と娘のそれぞれの願いが結びついて、思いもよらぬものが誕生した……ネズミの心筋細胞で動き回るコイン大の人工エイ型ロボットだ。
エンジニアリング、細胞培養技術、遺伝子学、バイオメカニクスというそれぞれの分野の最先端の成果を取り入れて造り出された”生きているロボット”は紛れもない技術の傑作だ。
Robotic ray is part animal, part machine
アメリカ、ハーバード大学の応用物理学者であるパーカー教授がロボット工学の世界に足を踏み入れたのは5年前。水族館で目にしたクラゲに心を奪われてのことだ。クラゲがリズミカルに膨張と収縮を繰り返す姿から心臓の鼓動を思い浮かべたのだという。そのときすでに彼の研究チームは心筋細胞をシリコンの薄いフィルムの中で成長させることに成功していた。そこでこの細胞をクラゲのようなポンプに組み込んで利用できないかと思いついたのだそうだ。
その結果が”メデュソイド(クラゲの意)”だ。これは心筋細胞をシリコンのシートに重ね、羽根つきの浅いコップ状に成形したシンプルな人工生物である。塩と糖の溶液が細胞を保ち、ここに微弱な電気を流すことで収縮させる。こうしてシリコン製のコップの形状を変化させ、液体の中をクラゲのように泳ぐことができる。
「こいつは練習のようなもので、筋肉のポンプをもっと改良しようとしているところです」とパーカー教授。
もちろん愛娘と出かけた水族館からは別のヒントも得た。魚と遊べる水槽でエイに触れたとき、エイは体の片側をひらひらと動かして彼女の手の上から逃れようとした。これを見て、パーカー教授はエイの方向転換と心臓の動きは似たところがあると感じたという。そしてクラゲからエイをモチーフにすることに決めた。