ビートたけし「失礼な若手がいっぱいいる」発言の真意とは (3/4ページ)
相方の礼儀作法は、師匠を見て、学んだものだと思います」
72年、フランス座にエレベーターボーイとして潜り込んだたけしは、当時、浅草芸人のカリスマ的存在だった深見千三郎氏に仕え、芸のイロハを学んだ。たとえば、たけしが深見氏に、浅草の鍋屋に連れていってもらった際のこと。「料理を食い終えた後、相方は先に座敷を下りて、師匠の靴を出すワケです。すると、店を出てから師匠は“タケ、お前はバカか”と言うんです」(前同)
たけしは何かミスをしたのかと思いきや、「師匠曰く、『靴置き場にはピンクのハイヒールがあった。それを俺に履かせれば、“お、背が高くなったって、バカヤロー! 俺の靴じゃないだろ”って言える。そしたら周りから“深見のところには面白い弟子がいるな”と名前を覚えてもらえるだろう』と(笑)」(同) これぞ、本当の“粋な師弟関係”ではないだろうか。
また日常生活の中にも、たけし流の礼儀がある。あるとき、たけしは、「世間一般の感覚を忘れないため」と、ラッシャー板前を連れて、電車に乗って本屋に本を買い行ったという。「車内は人もまばらで、優先席が空いていたんですが、たけしさんは“俺らみたいなのは、こんな席には絶対に座っちゃいけないんだよ”と言って座ろうとせず、ずっと隅っこに立っていたそうです」(お笑い関係者)
このようにヤンチャしながらも常に先輩、後輩、そして世間への礼儀を忘れないたけし。“関東芸人の父”と呼ばれ、多くの人気芸人を育ててきたブッチャーブラザーズのリッキー氏も、彼を慕う一人だ。「たけしさんは本当に気さくな人。たけし軍団に対しては厳しいところがありますが、それ以外の芸人にはまったく偉ぶらないし、自分から“飲みに行こう”と気軽に誘うんですね。若手の芸人は誘われるとビビっちゃうんですが、たけしさんは友達のように隣に座って、“タバコちょうだい”とか“あんちゃんはどういうものをやってんの?”とか話しかけているんですね」
威厳や威圧感を醸し出すどころか、できるだけ相手にプレッシャーを与えないように努めているという。冒頭で紹介した「失礼な若手がいっぱい出てきた」という発言については、「僕は、最近の若手は挨拶がなっていない、という意味ではないと思うんです。