「住所不定ライター」が歩いた「日本3大生活保護天国」!(2)「あしたのジョー」の舞台に (2/2ページ)
寿地区の住民約6500人のうち、8割以上が生活保護を受給する高齢者と言われている。店を構えてウン十年という居酒屋のママが嘆く。
「昔は労働者たちで活気がすごかったけど、今じゃこのありさまだよ。昔からクズばかりだったけど、同じクズでも昔のクズは必死に働いていたからね」
そんな生活保護受給者たちを、ママは皮肉を込めて“福祉様”と呼ぶ。
「客はみんな、福祉様だよ。そのくせ、『もっと生きのいい刺身出せ』だの、『若い女を雇え』だの、口ばっかり達者でさ。まあ、そうはいっても、彼らがいなかったらうちらの商売あがったりなんだけどね」
ママが言うように、寿地区の経済は生活保護受給者が落とすカネで成り立っていると言っても過言ではない。安食堂に安飲み屋、昔あった田舎の商店のように品ぞろえの寂しい雑貨屋‥‥、そのどれもが“福祉様”の定収入を当てに商売を続けているのが現実だ。
「チマチマやっていく分には十分だよ。ただ、正直言って治安はあまりよくないよ。そこのスーパーなんて閉店になると入り口をぶっとい鉄のチェーンでグルグル巻きにしてふさいじゃうからね」(商店の主人)
根本直樹(フリーライター)