「住所不定ライター」が歩いた「日本3大生活保護天国」!(2)「あしたのジョー」の舞台に (1/2ページ)

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「住所不定ライター」が歩いた「日本3大生活保護天国」!(2)「あしたのジョー」の舞台に

 労働者向けの簡易宿泊所が立ち並ぶドヤ街。西の横綱が西成ならば、東の横綱は山谷だろう。

 しかし、実際に行ってみると、予想は大きく裏切られた。街はクリーンに整備され、ションベンとヤニが混ざったような異臭もしない。英語表記の看板を掲げる旅館の経営者が言う。

「ずっと前から、どの宿も生活保護者ばかりだった。最近では病気とか体を壊してどこかのセンターに移る人も増えてね。スカイツリーは近いし、うちみたいに“客離れ”を外国人観光客で取り戻そうとするところは多いよ」

 山谷の街を当てもなく歩いていると、ある行列が目に飛び込んできた。その先にあったのは1軒の弁当屋だった。並んでいる客の一人に話を聞くと、

「とにかく安いんで、夕飯はいつもここで買ってるよ。夕方にはいつも行列ができるけど、客さばきがうまいから、そんなに待たなくてすむんだよ」

 メニューを見るとその安さに驚いた。「やきにく(豚)弁当」や「日替わり」は300円、定番の「のり弁当」はなんと130円だった。商売として成立しているのだろうか? 店員に思い切って尋ねると、

「採算なんか考えていませんよ」

 こう言って笑った。別の客によると、この「激安弁当屋」は多くのボランティアによって長年支えられているという。

 山谷唯一のアーケード街をブラつく。この泪橋付近は漫画「あしたのジョー」の舞台となった土地で、アチコチに矢吹丈のポスターが貼られていた。付近の公園で、先ほど購入したのり弁を実食する。プラスチックのパックに御飯と梅干し、それとは別にラップにくるんだノリが4枚、ごぼうとシイタケの煮物がついていた。健康を考慮してか、味つけは薄い。生活保護で暮らす山谷の住民は、この人情弁当を食べながら、どんな“あした”を思い描いているのだろうか。

 タカさんは言う。

「山谷もいい街だったんだけど、俺たちのようなハグレ者にはどうも住みづらくなってね。おキレイなところはなぜか居心地が悪いんだ。理屈じゃないんだ」

 そんなタカさんが現在暮らしているのが、西成、山谷と並び「日本3大ドヤ街」に数えられる横浜の寿町だ。

 最後の訪問地も他と同様に、労働者の街から「生活保護天国」に変貌していた。

「「住所不定ライター」が歩いた「日本3大生活保護天国」!(2)「あしたのジョー」の舞台に」のページです。デイリーニュースオンラインは、根本直樹週刊アサヒ芸能 2016年 7/21号あしたのジョー生活保護社会などの最新ニュースを毎日配信しています。
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