天才テリー伊藤対談「矢追純一」(1)終戦をきっかけにすべてが変わった (2/3ページ)
テリー へー、それはすごい!
矢追 ところが、終戦を迎えると生活が一変するんですよ。戦争に負けたから日本円は全部紙切れになっちゃったし、お手伝いさんたちには着のみ着のままで家から追い出されて。
テリー ひどい話ですね。その時のご家族は?
矢追 父親は1年前に病気で急死して、母親と妹2人です。で、母親が何らかのツテで借りてきたアパートに転がり込むんです。布団も何もなかったですね。
テリー 子供心には、ショックな出来事でしょうね。
矢追 しかも母親が僕らを座らせて、「お母さんも生きていくのに精いっぱいだから、キミたちの面倒は今後一切見られません」って、いきなり言うんです。
テリー それはまた、展開が急すぎますよ。
矢追 すごく厳しい人だったんですよ。で、「これを売って自分たちで稼ぎなさい」って高そうな着物を僕に渡して、外に放り出すんです。その頃、僕は10歳、妹が6歳と4歳ですから、何が何だかわからない。
テリー そりゃそうだ。
矢追 だけど、泣いてたって家に入れてくれないから、しかたなく道端に立って通る人に売りに行くんです。でも、通るのは中国人ばっかりですから、金は持ってないし、買ってくれるわけがない。
テリー 中国人の、日本人に対する風当たりも強かったんじゃないですか?
矢追 もう人間以下です。だから道路で売買なんてしてたら何度もボコボコにされましたし、着物やお金も略奪されました。でも、泣きながら帰ると、母親は「取り返してこい」って言うんですよ。
テリー ほんとにスパルタだなぁ。